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BigTunaOnline / shutterstock.com

インドのスマホユーザーが最も利用するメッセージングアプリは「WhatsApp(ワッツアップ)」だ。フェイスブック傘下のWhatsAppはインドで2億人以上の月間アクティブユーザー(MAU)を抱えている──。先日、WhatsAppはインド国内で送金サービスのベータ版を始動させた。

インド政府がデジタル決済を推進するなかで、決済に革命をもたらすWhatsAppの動きは時流に乗ったものだ。地元のエンジェル投資家のAniruddha Malpaniはこう述べる。

「WhatsAppにモバイル決済機能が搭載されるのは自然な流れだ。中国のWeChatに先を越される前に、WhatsAppがインドでモバイル決済を浸透させるべきだ」

インドの金融系スタートアップの「Signzy」の創業者も同じ意見だ。Signzyは融資の際のKYC(Know Your Customer)と呼ばれる本人確認作業を、人工知能とブロックチェーンで行っている。

Signzyの共同創業者のAnkit Ratanはこう分析する。「今回のWhatsAppの動きの背後には、インド政府のデジタル決済推進の動きがある。政府のインド決済公社(NPCI)は既に『UPI』と呼ばれる統合決済インターフェイスを開発し、金融サービスに利用させている」

WhatsAppは既にインドの大手銀行と提携し「インドステイト銀行」や「ICICI銀行」「Axis銀行」らをUPIのインターフェイスに接続しようとしている。2017年2月にWhatsAppの共同創業者のBrian Actonは、インドのIT担当大臣のラビ・シャンカール・プラサドと面談し、その後、WhatsAppはUPIとの連携の認可を受けた。

インドのスマホユーザーのWhatsAppの利用率は96%に達している。WhatsAppの巨大なユーザーベースは、電子決済分野でインドの「Paytm(ペイティーエム)」を脅かすかもしれない。

Paytmはこれまで、アリババやソフトバンクから累計で20億ドル(約2100億円)近い資金を調達し、昨年11月にはチャットや写真のシェア機能をデジタルウォレットに統合した。

過去2年で急激にデジタル決済を普及させたインドには、様々なプレイヤーがひしめいている。Flipkart傘下の「Phonepe」や「Hike」「Mobikwik」に加え「アマゾンペイ」もある。

グーグルやペイパルもインド市場を狙う

ペイパルも昨年、インドでサービスを始動した。グーグルも支払いアプリの「Tez」を立ち上げ、ローンチから10週間で1200万人のアクティブユーザーを、インドで獲得したと宣言した。

エンジェル投資家のMalpaniは、そのなかでWhatsAppが最も有望だと述べる。「日常的にメッセージングツールとして利用されているWhatsAppがモバイル決済に対応すれば、非常に便利だ。経済が発展するにつれ、人々はデジタル決済に向かうだろう」

現在のインドは現金使用率が非常に高いのが現実だ。しかし、この状況にも変化が訪れるとSignzy創業者のRatanは述べる。

「まずはインド決済公社(NPCI)がインフラを整え、そこに様々なプレイヤーたちが参入する。この分野ではグーグルやPaytm、PayU、Olamoney、Mobikwikといった企業がしのぎを削り、そこにWhatsAppが加わった。インドにおいて今後、デジタル決済が主要なポジションを握るのは確実だ」と彼は話した。

編集=上田裕資

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