3.「どのように?」─移行後のタスク管理
デジタル化に成功するには、組織の枠組みやプロセス、経営ツール、ITシステムなどを大きく変える必要が出てくる。取るべき3段階をご紹介しよう。
(1)計画を立てる
まず、デジタル化の工程表を作ることから始めよう。デジタルの世界に合わせて人や仕事を評価する仕組みが必要だ。次に、顧客との接点をすべてデジタル化すること。そして社内の縦割り構造を廃止した上で、デジタルに通じた人材を加えた分野横断的なチームを作ることだ。計画を立てることで、方向性や解決すべき問題の優先順位が明確になるだろう。
(2)デジタル企業色を強める
次に、試行錯誤を繰り返すデジタル企業の文化に合わせ、「習うより慣れ」のスピード感で事業を最適化していくことを覚える必要がある。
新製品やサービスは市場に投入し、結果を計測し、最適化する。予算は中間目標に紐付け、PDCAサイクルで効果を分析し、場合によってはプロジェクトを中止する。まさに、オペレーティングシステム(OS)のように動くことが重要だ。
(3)常にスケールし続ける
そして、常に最新の技術を取り入れつつ、スケールすることを意識し、会社全体とエコシステムにデジタル化を浸透させること。そのためにも、2本立てのITシステムを設けたほうがいいだろう。通常業務用と、短期プロジェクト用の2通りである。
デジタル化はCEOの使命
これが成功するか否かはすべてCEOにかかっている。しかし、決して容易にできることではない。実際、前出のGEのジェフリー・イメルト前CEOも「思いつきで重工業会社からオラクルやマイクロソフトのようになりたいと思ったわけではない」と話している。
11年、イメルトは130年近い歴史を誇る同社のデジタル化を一気呵成に進めた。ヒエラルキーや官僚主義を廃止する一方で、リーン生産方式を取り入れるなど、デジタル経済について学びながらやり遂げたものの、骨の折れる作業だった。
イメルトはまた、何千人とデジタル人材を雇っている。彼らが開発したIoT向けのオープン・プラットフォーム「プレディックス(Predix)」では、GEが開発したアプリのほか、外部の開発者の制作したアプリも使える。GEではすでにソフトウェアは大きな役割を占めている。それでもデジタル化が終わることはない。
このように、会社の命運はCEOの双肩にかかっていると言っても過言ではない。果たして、あなたの会社のCEOはイメルトのように兆候に気づき、早い段階でデジタル化を進められるだろうか? それとも、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世が「私は馬を信じる」と自動車の台頭を一笑に付したように、流行りに過ぎないと考えてしまうのだろうか?