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(Photo illustration by Jeff J Mitchell/Getty Images)

2017年末からの度重なる価格変動により、投機手段として広く普及した仮想通貨。それに伴い、仮想通貨にまつわる言説も多くなったことでその本質が見えづらくなってきた。仮想通貨が世の中に及ぼす影響を、ここで改めて見つめ直す。

インターネットの中央集権を解体する

例えばいま、第二次世界大戦時の日本やドイツのような軍事独裁体制が蘇ってきたらどうなるでしょうか。当時よりも監視の眼は一層厳しくなり、言論統制や個人資産の徴収はより徹底的に、かつ効率的に行われるでしょう。戦時中とは違い、インターネットの普及により、グーグルやフェイスブックといったビッグデータを握る企業から、膨大な情報を差し押さえることもできます。あるいはグーグルなどネット大手が、これまで収集した個人情報を悪用するかもしれません。

近年世界は急速に不安定になってきており、民主的とはいえない国家が増加し、一方でGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)、BAT(Baidu、Alibaba、Tencent)といったテクノロジー大手がとてつもない力を持ち始め、もし彼らが間違った方向に動いた時に我々市民の権利や自由を本当に守ることができるのか、彼らにそこまで大きな力を与えてしまっても良いのか……そういったことを考えるのは荒唐無稽ではなくなってきていると思います。

そこでキータームとなるのが、「decentralization」日本語で言う「非中央集権」です。

自由と平等、個人のエンパワーメントはかねてからのインターネットの理念でしたが、現在はGAFAMとBAT──ここではバイドゥを抜いた7社を新セブンシスターズと呼びましょう──が圧倒的な力を持ってしまっています。たしかにスナップやインスタグラムなど、近年にもネットで大躍進を果たした企業は他にもたくさんありますが、フェイスブックのインスタグラム買収が象徴するように、新セブンシスターズら巨大なプラットフォーマーたちが築いたルール上で成功しただけに過ぎません。

そんな中でパラダイム・シフトの担い手として期待されているのが、仮想通貨の根幹でもある「ブロックチェーン技術」。これによって管理者としての中心機能なしでトラストレスで自律的なネットワークを構築できる仕組みができました。ここから生まれるサービスは、新セブンシスターズを根本的にディスラプトする可能性を秘めています。

例えば、2017年8月にICOを開始したFilecoin(ファイルコイン)は、ユーザーが自分のPCの余ったストレージを貸し出し、量に応じたトークンを受け取ることができるサービスです。これはAWSのS3やドロップボックスのdecentralized版だと見なせるでしょう。従来のクラウドストレージはデータ領域を運営会社が管理する中央集権型でしたが、これをユーザーが担うのです。

似た仕組みとしてWinny(ウィニー)などのファイル共有ソフトがありますが、こちらにはユーザーがファイルのアップロードに協力するメリットがなく、サービスの持続には利用者の善意が求められたため、うまくワークしませんでした。一方で提供したストレージに応じて他のコインと交換可能なトークンがもらえるFilecoinでは、ユーザーは善意ではなく個人の利益のために利己的に行動することによってネットワークが成立するという仕組みです。

文=國光宏尚

 

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