40歳のタンは、次のアジアのテック・ジャイアントを築こうとしているのかもしれない。しかし一方で、Razerの損失は増え続けている。
タンはここ数年間、シンガポールとサンフランシスコを拠点とするRazerの事業拡大に取り組んできた。本人の覚えている限り、4時間以上の睡眠をとったことがない、という。ジョージ・ルーカスが設立し、その品質で名高い音響技術会社THX社を買収した際には特に眠れぬ夜を過ごした。16年10月、買収が実現したがその金額は明かされていない。
「我々は、映画や音楽などエンターテイメントの世界への大きな可能性を手にした」。トレードマークとなっている黒シャツとブルージーンズに身を包んだタンは言う。「本当に心が弾むよ」。
他にも15年7月Razerは、アンドロイドOS用ゲーミングコンソール、ウーヤー(Ouya)のソフトウェア資産を買収。さらに17年1月にはアンドロイド端末メーカーのネクストビット(Nextbit)も傘下に置き、Razerが株式公開した同年11月、最初のスマートフォンを公開した。
この間Razerは、14年に2000万ドルの黒字を記録した後、15年には2000万ドルの赤字に転落。さらに16年には赤字額が6000万ドルへと膨らんだ。
「人生は短い」。そう言うタンの野望の光はまだ消えない。