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リケジョの「自動車ジャーナリズム」

CESで自動車メーカーの新たなあり方を提案したホンダ

ラスベガスで開催された世界最大級の家電ショー「CES」では、トヨタ・豊田章男社長のドライマティックなプレゼンテーションが日本でも大きな話題を呼んだが、ホンダはまったく違うやり方で話題を獲得していた。

ホンダは自動車メーカーとしてだけではなく、パワープロダクツ、二輪、ロボットまで含め、インテリジェントなモビリティやロボットを包括するプラットフォームを提案した。3つの「E」、Empower(人の可能性を拡大)、Experience(人と共に成長する)、Empathy(人と共感する)をテーマに掲げ、ロボットが活躍する時代に必要なソリューションを提供する。

例えば、見るからに“ロボット”と断言できる「3E-A18」は、人と触れ合い、暮らしに溶け込むコミュニケーションロボットだ。ホンダは人と協調する人工知能技術をCI(Cooperative Intelligence)と呼んでいるが、「3E-A18」は10歳の子供ほどの大きさで、人の表情を認識するCIを搭載し、音や表情でコミュニケーションを交わす。同社のアシモのように二足歩行などの複雑な技術は持たないが、丸っこいスタイルや柔らかな外装で、より親しみやすく、共感できることを目指している。


「3E-A18」

車輪がついた動くロボットは、3E-B18、3E-C18、3E-D18の3種類が発表された。ボックスに目がついたような型の「3E-C18」は人との関わりを通じて学び、成長するロボット。アタッチメントを交換すると、物販カートや移動広告メディアなどに応用できる。大きめの4輪がついたバギー型「3E-D18」は消火活動や農作業などのヘビーデューティーへの活用を想定している。それぞれに活躍の場は異なるものの、「人との協調」に重点を置いて、ホンダが独自に開発したAIを搭載する。


手前が「3E-C18」、奥が「3E-D18」

特筆すべきは、これらのロボット(3E-A18はのぞく)に共通する電力供給の技術として、「ホンダ・モバイル・パワーパック」システムを搭載している点だ。電動モビリティや家庭電源といった幅広い用途に使える搬送可能なバッテリー(モバイルパワーパック)、充放電器、充電ステーションで構成されている。

充電ステーションでは、複数の電池を同時に充電し、充電済みの電池を交換用に供給する機能を持つ。さらに、電力の需要がピークになる時間帯には、この電池から充電ステーションを経由して電力供給網に電力を供給することができるため、電力需要の平準化にも役立てる。

つまり、モビリティやロボットを支えるエネルギー供給プラットフォームを構築しようとしているのだ。ホンダでは、コジェネレーションシステムや燃料電池システムのノウハウも持っているだけに、この分野の広がりに期待できる。

もちろん、こうしたアイデアが突然出てきたわけではない。ホンダは長らくシリコンバレーを拠点に研究所とアクセレレータプログラムを運営しており、2017年の春にはホンダ R&Dイノベーションという名でそれらを会社組織に変更。現在は同社がIoT、コネクテッドカー、HMI、ロボッティックス、AIといった技術分野の開発に加えて、モビリティ・サービスまで含めて、まさにホンダのイノベーションを担っている。また、東京・赤坂にホンダR&Dイノベーション・ラボを設置し、CIの研究開発拠点としている。

「これまでは“デザイン”といえば、スタイリングに代表される造形を指していましたが、今後のデザインはさらに、エンドユーザーからの視点が重要になってきます。どんなモビリティを作るかも重要ですが、人とモビリティやロボットの関わりの中で提供できる価値を見極めて、ホンダとして提供できる体験を作り出したいと考えています」と、執行役員の松橋 剛氏は語る。

自動車メーカーとしてではなく、ロボットや二輪、そしてエネルギーマネージメントといった総合力を活かしたイノベーションを起こすという、ホンダの決意が見えた記者発表だった。

文=川端由美

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