Close

PICK UP

国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

ホンダのシビックタイプR

1990年にホンダNSXが登場したとき 、ドイツの名門サーキット、ニュルブルクリンクでのラップライムが8分16秒ということが、世界を驚愕させた。当時のスーパーカー作りを変えたそのNSXは3L、V6のミッドシップエンジンで280馬力だった。それから27年が過ぎた。

2017年に登場したシビック・タイプRは、306hpを発揮する2.0Lターボエンジンで、伝説的なNSXの記録を塗り替えた。なんと30秒も縮めたのだ。

もちろん、この27年でエンジンはコンパクト化してパワフルになり、シャーシ、ブレーキ性能、サスペンションなどの技術は著しく進化した。それに、なんと言ってもNSXは後輪駆動で、シビックは前輪駆動という違いはある。しかし、NSXが手にすることができなかったコースレコードをシビック・タイプRは打ち立てたのだ。今年の春にタイプRが叩き出したラップタイムは、なんと7分43.8秒だ。これで、タイプRは、前輪駆動車として世界一のニュルブルクリンク記録を樹立したことになる。

そして、このクルマが、アメリカに上陸した最もパワフルなホンダ車になった。

スポーツカーの世界で“謙遜”は意味がない。これだけのコースレコードは、どれだけ自慢しても足りないくらいだ。まして、栄誉あるニュルブルクリンクの王者であれば、世界を睥睨(へいげい)してもいい。もちろん、タイプRよりパワフルなFR車や4WD車ならば、さらに速い記録を持っている。しかし、ヨーロッパ、日本、そしてアメリカで発売になれば、7分43.8秒というコースレコードが強力な武器となることは間違いない。

それでも、もし触手が動きながらも買うのをためらう人がいるとすれば、それはやり過ぎかとも見えるパーツや、エッジが効いたギーク好みの外観が理由かもしれない。タイプRは美しいとは言えない。とにかく機能的なのだ。高速で走行するときの安定性を高める機能を充分に備えた、走って楽しいクルマなのだ。



正直なところ、その外観のスタイリングは映画「トランスフォーマー」と攻撃ヘリコプター、アパッチの中間のようだ。それもすべてニュルブルクリンクでの最高記録を実現するため。ホンダのデザイナーたちは最大限のダウンフォースを目指して、タイプRにレースカー並みのエアダム、スポイラー、ブレーキダクト、そしてリア・ディフューザーをつけた。しかも、公園のベンチかと思うほど巨大なリア・ウィングまで授けた。

ライバルであるVWゴルフRやフォード・フォーカスRSなどのもっと控えめなスタイリングと比べても、アメリカに初めて上陸する、もっとも挑戦的なスタイリングのホンダ車だと言えるだろう。もし、映画「ワイルド・スピード」のティム・バートン監督版があれば、このタイプRはぴったりだろう。エッジが効いていて、恐ろしいくらいだ。

文=ピーター・ライオン

記事が気に入ったら
いいね!しよう

LIKE @Forbesjapan

Forbesjapanを
フォローしよう

FOLLOW @Forbesjapan

あなたにおすすめ

合わせて読みたい