結局のところ、より多くの資本や人材、顧客を確保しているのは大企業だ。これらのリソースを活用し、主導的な地位を維持することは可能であるはずだ。だが、中小企業の中には、大企業よりも急速なペースで成長できるものがある。さらに、ゼネラル・エレクトリックやIBMといった有名企業をはじめ、数多くの大企業が成長の持続に苦しんでいる。
ただし、大企業の中には明らかな例外がある。それが、電子商取引(EC)大手のアマゾンだ。2月1日に2017年第4四半期の業績を発表した後、同社の株価は過去最高値に達した。そのアマゾンが、世界で最も優良な企業だと考えられる主な理由は、以下の3つだ。
1. 持続可能な競争上の優位性市場シェアにおける主導的地位は、以下の3つの要素によってもたらされる。
・顧客に提供する価格当たりの価値──私たちは買い物をするとき、一連の基準に照らして複数のサプライヤーを比較し、購入する。アマゾンの顧客にとって、こうした基準となる要素に含まれるのは、「価格」と「迅速な配送」、「信頼できるサービス」だ。そして、アマゾンはこれらの基準において、競合各社より優れている。
・活用できる規模の強み──何百万人もの顧客を抱える大企業の場合は特に、顧客を獲得し、維持するために高い能力が必要とされるいくつかの側面がある。アマゾンは、そうした側面に含まれる「製品・サービスの幅広さ」、「注文に対応する効率的なサプライチェーンの運用」、「優れた顧客サービス」において、特に優れた能力を発揮している。
・持続的な競争力──大企業の多くは1つの市場において、上記の2つの点を実現することができる。ただ、そうした大企業の戦略をまね、新たな成長機会を勝ち取ろうとする競合他社の一歩先のポジションを、常に維持できる大企業はほとんどない。
一方、最初にオンライン書籍販売で優位性を確立したアマゾンは、その他の分野においても主導的立場を獲得し、維持している。米紙ウォールストリート・ジャーナルによれば、米国のEC市場シェアの約40%を占有する同社は、「エコー」でスマートスピーカー市場の約75%、アマゾンウェブサービス(AWS)でクラウドコンピューティング市場の40%以上のシェアを獲得している。