なぜ愛されたのか
20代前半の女性に話を聞くと、ミレニアルピンクに対しては「可愛いという印象も受けるが、上品であり、繊細さを感じる」と話す。
加えて、通常ジェンダーレスを示すカラーはレインボーという印象があるが、同時にミレニアルピンクもジェンダーレスなシンボリックカラーのひとつであるとも言われており、LGBTQなどのセクシュアルマイノリティに寛容なミレニアルズにとって親和性が高い色でもある。
どの時代においてもピンク色は支持されているという論もあるが、2016年、2017年の流行をみると、ミレニアルピンクから感じ取れる「優しさ」や「穏やかさ」という印象が、時代と複合的にマッチしていたと考えられる。
情報量が多く、SNS疲れしているミレニアルズにとって、インスタグラムのフィードに流れてくるミレニアルピンクは「癒し」のカラーだったのだろう。特に米国では、ミレニアルズの5人に1人がLGBTQであると自認しており、彼らにとってはLGBTQフレンドリーで、「自分たち」向けのカラーだったのではないかと考えられる。
ミレニアルピンクは「いいね」がもらえる色
ミレニアルピンクになぜ惹かれるのかという質問を、他の20代女性にしてみるとユニークな答えがあった。「ミレニアルピンクは、写真映えする色だよね」と。加えて、ファッションメディアの担当者は、SNSにおいてミレニアルピンクを使用すると、「いいね」が多く、エンゲージメントが上がると話していた。
なるほど。つまりミレニアルピンクは「いいね」がもらえる色なのだ。
2016年の流行色にはじまり、様々なアイテムやスポットがミレニアルピンクで溢れ、時代性とマッチしたその色は多くのミレニアルズに支持された。そしてミレニアルピンクをSNSで投稿すれば、その共感は「いいね」という形で返ってくる。そのサイクルは雪だるま式に大きくなり、拡散され、ミレニアルズの生活に浸透していったのだ。
とはいえ、「いいね」がもらえるからと意識的にミレニアルピンクを投稿しているミレニアルズが多いとは思わない。しかし、時代によって流行りの顔や髪型、ファッションがあるように、いま若者に求められている色はミレニアルピンクなのだ。ミレニアルズの消費行動にSNSが起因しているという話は、今や当たり前の話であり、覆すことのできない事実である。