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I write about my observations as an American entrepreneur in Europe.

Carsten Reisinger / shutterstock.com

英国と欧州連合(EU)の離脱交渉が難航し、英政権内でも意見の対立が解消されないなか、英国民の間では、EUからの離脱の是非を問う国民投票が今行われれば、「残留を支持する」という人が離脱派を上回ることが分かった。

英調査会社ICMと同国紙ガーディアンは先ごろ、共同で調査を実施。その結果、EU残留に投票するという人は51%、離脱を支持するという人は49%となった。

英国内にはまた、EUとの交渉が終わり、その結果が示された時点で国民投票を再度行うべきとの声もある。こうした意見について、「(どうすべきか)分からない」と答えた人(約20%)を除いた場合、「実施すべき」と考える人は58%に上り、「実施の必要はない」とした42%を上回った。

経済への不安が背景

国民の考え方が2016年6月の国民投票実施の時点から変化している背景には、これまでのEUとの交渉における英政府の手際の悪さや政権内の混乱など、多くの要因がある。また、昨年6月の離脱交渉の開始以降、英経済については否定的なニュースが大幅に増加していることもある。

調査機関の米ランド研究所が昨年12月に公表した報告書には、「英経済は離脱による悪影響を受ける可能性が非常に高い。英国にとって最大の問題は、それがどの程度になるかだ」との見方が示された。

さらに、今年1月上旬に英紙フィナンシャル・タイムズが発表した調査結果では、100人を超えるエコノミストが「EUからの離脱により、英国の今年の経済成長率は1.5%にとどまる」との見解を表明。その理由として、投資の減速、利上げの可能性、世帯の消費支出の減少を挙げた。

ICMとガーディアンの調査では、国民の多くが自国経済に不安を抱えていることが明らかになっている。43%は「離脱により、英経済は悪影響を被る」と回答。一方、「好影響を受ける」とした人は32%だった。

この調査で明らかになったその他の結果は、以下のとおりだ。

・野党労働党の支持者で離脱派(もともとは残留支持)のうち9%が、残留に再び転向
・有権者のうち、若年層では残留支持が17%増加。65歳以上では離脱派が増加
・残留派が多いスコットランドでは、残留を望む声がさらに大きくなっている。ウェールズ、イングランド中部、その他の地域では離脱派が上回る

離脱派リーダーにも「迷い」?

2度目の国民投票の実施を求める声の高まりは、奇妙な「政治的同志」を生み出したと言えるかもしれない。トニー・ブレア元首相は離脱に関するEUとの交渉の結果が明らかになった時点で、国民投票を再度行うべきだと主張。積極的な活動を展開している。

これに対し、反EUの英国独立党(UKIP)の元党首で、離脱派を主導してきた人物の1人でもあるナイジェル・ファラージ欧州議会議員は先ごろ、出演したテレビ番組で、「2度目の国民投票を行っても、変わらず離脱派が多数の支持を得る」と明言。もう一度投票を行うべきというブレア元首相の考えを支持できると述べた。

この発言を受け、欧州各国のリーダーたちの間からは「英国のEUへの復帰はいつでも大歓迎」との趣旨の発言が相次いだ。すると、ファラージは発言を撤回。「2度目の国民投票は行ってほしくない」「絶対に反対だ」と前言を翻した。

編集=木内涼子

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