しかし、メディア企業にとっては残念なニュースもある。米国人たちは自国のメディアが、重要な役割を十分果たせていないと感じている。人々はメディアに対するネガティブな印象を強め、ニュース報道に政治的バイアスが含まれる懸念を高めている。一方で、地方紙やTVのローカルニュースに関しては一定の信頼感を抱いていることも明らかになった。
今回の調査はナイト財団が昨年秋に立ち上げた、メディアの信頼性と民主主義の回復を目指すプロジェクトの一貫として行なわれたもの。ナイト財団は250万ドルの資金を、関連団体に寄付すると宣言していた。今回の調査はジャーナリストやメディアのリーダーらに、報道の問題点を認識させる目的で行なわれた。
回答者の84%はニュースメディアが民主主義にとって“きわめて重要”もしくは、“非常に重要”であると回答した。しかし、メディアを信頼すると答えた回答者の比率はこれを下回った。
ギャラップの2003年の調査では、54%の回答者がメディアを信頼すると答えた。しかし、2017年の調査ではこの数値は41%だった。さらに、メディアに対して好ましくない印象を持っていると答えた回答者は全体の44%で、好ましい印象を抱くと答えた人々の比率(33%)を上回っていた。
また、回答者の政治的属性もメディアの信頼感を左右することも分かった。民主党支持者は一般的に、共和党支持者に比べてメディアへの信頼感が高い。しかし、共和党支持者の67%が「ニュース報道にかなりの政治的バイアスを感じる」と回答した。
しかし、報道に政治的バイアスを感じる人の割合は、支持政党を問わず、全体的に高まっている。ギャラップやピューリサーチ、ハリス・インタラクティブらのデータを集計した結果、1989年に「報道に政治的バイアスを感じる」と回答した人は25%だった。しかし、この数値は現在45%まで高まっている。
ネット限定ニュースサイトの信頼度は36%
また、調査リポートから情報の多様性が増すにつれ信頼度が下がるという、逆説的状況も見えてきた。インターネット上の情報やケーブルTVのニュース、ソーシャルメディアといった多様な情報があふれるなかで、回答者の58%が、以前よりも公共問題について正確な知識を得るのが難しくなったと答えた。
一方でメディア側にとって明るいニュースといえるのが、人々のローカルニュースへの信頼度が高いことだ。地方新聞の報道に対する信頼度を尋ねたところ、回答者の54%が地方紙の報道を信頼すると回答した。
さらに、全米ネットワークのテレビや全国紙の報道に関しても、ローカルニュースに対する信頼度は高い。信頼できると回答した人々の比率はテレビが52%、新聞が51%だった。
一方で、インターネットのみで運営するニュースサイトへの信頼度は低く、「信頼度が高い」と答えた人は全体の36%だった。