Petalは調達資金で同社のカード事業を全米に拡大する。Petalのカードは現在、ウェイティングリストに登録した人のみが利用可能になっており、既に4万人が登録している。Petalが想定する顧客は、クレジットスコアの不足により、従来のクレジットカードを持てないミレニアル世代や移民たちだ。
Petalは利用希望者らの銀行口座にアクセスし、収入や、家賃や公共料金の支払い状況、貯蓄額などのデータを収集。サービスの利用開始後には、各利用者の信用スコアや利用履歴を蓄積していく。
同社が提供する「Petal Visaクレジットカード」は手数料無料で、500ドルから1万ドルのローンを13.99%から24.99%の金利で提供する。共同創業者でCEOのJason Grossは、「既存のカードが持てない人にとって、これは非常にニーズの高いサービスだ」と述べる。
米国の消費者金融保護局(CFPB)によると、推定で4500万人の米国人(成人の5名に1名)がクレジットカードを持てない状況だという。既存のクレジットカードの発行に必要なスコアは、ExperianやEquifax、TransUnionといった企業が査定し、そこから生み出される3桁の数字で個人のスコアを導き出している。
Petalは既存の仕組みに頼らず、独自のカードを発行。300ドルのデポジットを預かるのと引き換えに、300ドルの利用枠を与えるといった取り組みも行っている。また、ノンバンクが提供する高金利な短期ローンや自動車ローンに置き換わる存在になることを目指している。
Petalは手数料無料で利用可能だが、利用者が返済を延滞した場合の利子や、小売店らが支払う手数料で収益化を図ろうとしている。
現状ではPetalにはキャッシュバックやリワードの仕組みはないため、一定の信用スコアを築いた利用者が、他のカードに移行してしまうことも考えられる。Petalは将来的には、利用者にベネフィットを提供することも計画中というが、具体的な時期やサービス内容は明らかにしていない。
ニューヨーク本拠のPetalは2016年に、ハーバード大学出身の弁護士であるGrossと、JPMorganとアメリカンエキスプレスに勤務歴を持つDavid Ehrichらによって創業された。