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金融から紐解く、世界の「今」

Martin Prague / Shutterstock.com

昨年も大いに話題を集めたフィンテックであるが、その成長への寄与には懐疑的な声もないわけではない。その典型が、「イノベーションが本当に起きているなら、世界経済の成長にも反映されるはずではないか? 技術革新がもたらしているはずの生産性上昇は、どこに行ってしまったのか?」といった主張である。

ところで、「どこかに行ってしまった」ように見えるのは生産性上昇だけではない。昨年、多くの先進国で、「労働需給は逼迫しているのに、賃金も物価もなかなか上がらない」という現象が共通して見られた。2018年の経済をみる上でのポイントの一つは、このような生産性や賃金、物価などの動きを操る「ハーメルンの笛」の正体は何か、そして、これらの「どこかへ行ってしまった子供たち」は今年戻ってくるのだろうか、ということになる。

「笛」の正体として、真っ先に考えられるのも情報技術革新の影響だろう。まず、生産性や物価との関係について考えてみよう。

日本の都会のように、真夜中にアイスクリームが1個食べたくなっても、サンダル履きで近所のコンビニに出かけて買えるような所は、海外には滅多にない。そう考えると、日本の流通インフラの生産性は、実感としては相当高いようにも思われる(実際、このようなインフラは、高度な情報処理や、これに基づく在庫・流通管理などに支えられている)。しかし、その一方で、「日本では非製造業の生産性が向上していない」と言われ続けている。

このように、情報技術革新の効果が統計上は十分に表れていないように見えることについては、「技術革新が生産性上昇に結びつくにはタイムラグがある」といった説明や、「世界経済の成長はそれなりに高まっている」との見方もあろう。ただ、その前に、情報技術革新の生産性への影響を統計から把握すること自体、そもそも簡単ではない。

昼間に山積みで売られるアイスが1個100円なら、真夜中に突然食べたくなるアイスには300円払ってもいいという人もいるだろう。街では100円のジュースも、山の上まで運べば300円で売れるように、サービスをおカネに換えられれば、生産性を統計から捉えることも容易になるのだが、昼間100円のアイスは、真夜中に買ってもやはり100円である。

このように、情報技術によって実現したサービスについては、これをおカネに換えるのは簡単ではない。さらに、スマホ料金や証券の取引手数料などが示すように、情報技術革新の成果が、価格の引下げという形で還元される事例も多い。

文=山岡浩巳

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