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(左)Women’s Startup Lab CEO 堀江愛利(右)Nest CTO 松岡陽子(illustration by Masao Yamazaki)

男性中心のシリコンバレーで、家庭を持ちつつ自らのミッションを追求するWomen’s Startup Lab CEOの堀江愛利氏とNest CTOの松岡陽子氏にその葛藤を聞いた。


堀江:松岡さんはNestの最高技術責任者(CTO)など、様々な企業で重役を務めています。どんな困難がありましたか。

松岡:日本人女性として、周りに与える印象に葛藤がありました。米国のテクノロジー企業で女性の重役は多くありません。人に聞いてもらいたいと思うと同時に、挑戦的だと思われたくありませんでした。無意識のバイアスで、女性が声を上げると大声を出しているわけではないのに、そのように受け取られてしまう。

ワークライフバランスも葛藤があります。重要な会議中に「子どもの体調が悪いので迎えに来てください」と連絡が入ることもあります。

堀江:松岡さんは子どもが4人います。子どもを持つという決断について聞かせてください。ためらう気持ちはありましたか。

松岡:私は子どもがいる家庭を築き、バランスのとれたライフスタイルにしたいと思ってきました。私は一人っ子で、自分の子どもは一人っ子にしたくなかった。同時に、自分のキャリアも重要。母親であるだけではなく、自分自身が世界を何らかの形で変えられる人になりたかった。

堀江:松岡さんは自分のミッションを持っていますが、バランスのとれた人生も欲しかった。

松岡:「バランス」って変な言葉ですね。

堀江:半分半分ではないですよね。20対80だったり、10対90だったりする。

松岡:バランスがとれている、なんて全く感じられない。毎日が不可能で完全にアンバランス。

家庭を犠牲にしていい仕事をするのは難しくありません。でも自分が死ぬ時、後悔しないのか。後悔するなら、子どもを持つべきだと思いました。全てのことに対して、少しずつ後悔はありますよね?

子どもと十分な時間が過ごせなかったとか、仕事が終わらせられなかったとか。でも全体でバランスをとる。毎日寝る前に、今日のベストができたか問いかけます。それがイエスなら大丈夫。

今日は仕事に入れ込んで、子どもと時間が過ごせなかったから、明日はバランスをとろう。会議を2つキャンセルして、家族と過ごす時間を増やそう、と考える。

削れるものはとことん削る

堀江:日本人女性は、毎日家事をするのがいい母親だ、という社会で育っている。キャリアを築きながらそんな期待には応えられません。松岡さんは両立のために何を削りましたか。

松岡:私が家で掃除するよりも、会社を経営していた方が社会に貢献でき、有意義ではないかと考えました。私はいい例ではありません。自分の時間を削ってしまいました。例えば、恥ずかしい話ですが、シャワーの回数を減らしました。昼食もミーティング中に食べています。

様々な家事を少しずつ人に任せて、自分がすべきことに集中できるようになりました。以前はシャツの折り目が大切で、他人には絶対任せられないと思っていました。今日私のシャツはシワだらけですね。こんなことは重要ではありません。世界を変えたりしませんから。

文=フォーブス ジャパン編集部

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