では、ストレスに対処するためにどのような人間関係が有効なのか。ソーシャル・サポートの機能として、1. 情緒的サポート、2. 評価的サポート、3. 道具的サポート、4. 情報的サポートの4つが挙げられる。
情緒的サポートは、愚痴を聞いたり、慰めてくれる存在である。評価的サポートは、その行動が社会的に良いのか悪いのか等、評価基準を提供し、しつけや教育などを行ってくれる存在。道具的サポートは、金銭援助や自分ができないことを手伝ってくれる等、具体的サポートをしてくれる存在。そして情報的サポートは、その人が実際に動いてくれるわけではないものの、どこに行けばサポートが受けられるか等、情報を提供してくれる存在を指している。
このような人間関係がバランス良く存在していることが重要だ。
情緒的サポートをしてくれる存在は大勢いるが、評価的サポートをしてくれる存在がいないのでは、効果はさほど期待できない。あるいは誰か一人がすべてのサポートを兼ねている状態も問題だ。
例えば、大人になった子どもが他者とのコミュニケーションによる人間関係の形成ができず、母親がすべてのサポート機能を果たしている場合、その唯一無二の存在がいなくなってしまったら、途端にストレスに負ける状況になってしまう。よって、様々な人間関係がバランス良く自らを取り巻く状況が、ストレスに対処する上で重要だと言える。
私たちのまわりの人間関係は常に変化する。だから、人間関係のポートフォリオを常に意識する必要があるのだ。薄くなっているサポートについては濃くする努力を、欠落しているサポートは形成する努力をしようではないか。人間関係のポートフォリオを作り上げることで、私たちの人生はより彩り豊かになるだけでなく、社会に渦巻くストレスに自分の心を侵されなくなるのだから。
そして人間関係ポートフォリオの確認を通じて、自らを振り返ることも大切にしたい。自分が大切な人にとってどの位置にいるサポーターなのかを自覚し、周りにいる人の助けになっているのか、自らの振る舞いはどうだったのか、自省する機会にもなるはずだ。
2017年もあとわずか。年の瀬のこの時期に、1年間の振り返りと合わせて、人間関係ポートフォリオを見直してみてはいかがだろうか。