同業の「Anker」の携帯用バッテリーはアマゾンでベストセラーとなり、今やスマートホームやオーディオ製品まで手掛ける大手テック企業に成長した。
Bestekは、第2のAnkerになることを目指している。NBAに例えればAnkerはレブロン・ジェームズのような存在だ。一方でBestekはカワイ・レナードのように知名度では劣るが、有名選手と同じレベルの実力を備えた存在だ。
設立10周年を迎えたBestekは、アマゾンの充電器・インバーター部門で、この数年トップ3の座を維持している。同社の主力製品は車でiPadやラップトップPCを使う際に、DC電圧をAC電圧に変換してくれる車載用インバーターだ。
Bestekの創業者のPeter Xuは、早くからアメリカでの車載用インバーターの需要に着目していた。彼は会社の設立当初、全てのリソースを投じて、競合製品よりも安全性に優れたインバーターを開発した。Bestekはインバーターに関する特許を保有しており、300Wインバーターで独占的なシェアを獲得することができた。今日、米国アマゾンで販売されている車載インバーターの80%がBestek製だ。
Bestekは、中国のインバーターメーカーの中で、消費者に直接製品を販売するF2C (factory to consumer)モデルを最初に展開した企業の一つだ。同社は、中国人が高価だと思う製品が、欧米の消費者にとっては安いことに気が付き、欧米向けの販売を開始した。
中国と欧米との価格差が大きい商品の代表がスマホケースだ。ベストバイのような家電量販店では、iPhone X用ケースが30-40ドルもし、アマゾンで販売されている12.99ドルのケースが安く感じる。しかし、中国ではタオバオや町の店舗で20-40元(約350-700円)で売られている。
Bestekの広報担当者によると、昨年は300万台のインバーターを販売し、売上は3億元(約50億円)に達したという。同社は深セン、日本、イギリス、アメリカにオフィスを構えている。同社の製品は各サイトで軒並み高評価を得ている。例えば、アマゾンでは300Wインバーターの評価数は4500以上で、星4.5を獲得している。
同社は昨年、掃除機や炊飯器などのスマートホーム機器の分野にも進出した。また、自社のノウハウを凝縮したスマートソケットや、充電が完了すると自動的にスイッチが切れる8個口の電源コードも人気商品になっている。
Bestekは今後、マーケティングの強化を行うという。「これまではマーケティングにはそれほど注力してこなかった。トップメーカーに匹敵する販売量を達成した今、我々のブランドを広める活動に力を入れる時が来た」とXuは話す。