カリフォルニア州車両管理局(DMV)は10月11日、ロボット車両のオペレーションに関わる規則の改訂案を発表した。最大の変更点は、史上初めて“無人の”自動運転車両を公道で走行させられるようになる点だ。改訂案は15日間のパブリックコメント期間を経て、承認プロセスに向かう。
同州のDMVの主任顧問のBrian Soubletは「我々は自動運転車のテストにおいて、常にリーダー的ポジションに立ってきた」と述べた。自動運転の規制緩和は、他の州でも進行中ではあるが、「カリフォルニア州はこの分野で先端を走っている」とSoubletは言った。
自動運転分野ではアルファベット傘下のウェイモやGM、フォード、テスラ、ウーバーらが数十億ドルを注ぎ、今後数年以内の商用化の実現を目指している。DMVによるとカリフォルニア州では現在、42社の企業が合計285台の自動運転車を公道でテスト走行させている。現状のルールでは、緊急対応を行う人間の乗車が義務付けられており、約1000名のテストドライバーが認可を受けているという。
自動運転分野のコンサルタントのGrayson Brulteは、アリゾナやミシガン、フロリダの各州が規制を緩和し、企業誘致に乗り出したことが、今回のカリフォルニア州の決定を招いたと見ている。
「今回の決定はカリフォルニア州の、自動運転分野のリーダーとしての地位を守りたい意思の表れだ。これは、モビリティの未来に向けての大きな前進と言える」とBrulteは述べた。
改訂案には自動運転車の登録にかかる費用の値上げも含まれている。これまではカリフォルニア州で自動運転車をテスト走行させる場合、1社につき年間150ドルの費用が求められていたが、改訂案ではその費用は2年間で3600ドルに引き上げられる。
自動運転車の商用利用を目指すウェイモは、フェニックス郊外でミニバンを用いた大規模なテスト走行を行っている。今回の改訂案が施行されれば、人間のドライバー無しのテストが可能になる。ウェイモは既に事前登録を行った住民たちに、体験乗車サービスを提供しており、先日は「Let’s Talk Self-Driving」と題した広告キャンペーンを開始したばかりだ。
カリフォルニア州では今年の初めから自動運転に関わる法律の見直しが進められてきた。「改訂案には自動車メーカーや消費者団体、地元政府や保険会社等のステークホルダーの意見が盛り込まれた」とDMVは述べた。
米国の連邦議会の上院でも先日、無人の自動運転車両の導入に関する法案が全会一致で合意を得ており、これが州独自のルールの制定の妨げになる可能性もある。米国下院でも同様な法案が9月に承認されている。