WeWorkの時価総額は今年3月、ソフトバンクからの投資額が30億ドルに達する見通しとなったことを受け、11桁に達した。ソフトバンクは同社の共同創業者であるアダム・ニューマン最高経営責任者(CEO)が掲げる「全ての人の働き方と暮らし方を変える」とのビジョンに基づき、投資を決めたとされている。
そのニューマンは、成功の度合いを測るのは金ではなく、人とのつながりだと強調。次のように語っている。
「私たちは現在、非常に困難な世界に暮らしている。そして、私たちはこれまで、状況は悪化する一方だと感じてきた」「そうした中で私たちは、常に世界に変化をもたらすビジネスを生み出したいと考えてきた」
CEOにインタビュー
フォーブスは10月2日、さまざまな業界に変革とイノベーションをもたらす30歳未満のリーダー30人を選ぶ「30アンダー30」の関連イベントをボストンで開催。その基調講演の中で、ニューマンへのインタビューを行った。
会場にTシャツにブレザーという姿で現れたニューマンは集まった若い起業家らに対し、ビジネスに関する3つのヒントを提供してくれた。
1. 大きく考えることだ。とてつもなく大きな影響を及ぼすという目標がなければ、今手掛けているビジネスを始めていなかったはずだ
WeWorkの最初のコワーキングスペース(共用オフィス)を開設する以前から、ニューマンはすでに1000か所のスペースを運営しているつもりで物事を決定していた。本当に世界を変えるためには、少なくともそれだけの施設が必要だと分かっていたのだ。
ニューヨーク・ブルックリンに最初のコワーキングスペースを開設してからおよそ7年。WeWorkは世界各地の163か所にスペースを開設し、利用するメンバーは15万人を超えた。コワーキングスペースの数はまだ1000に届かないが、同社はすでにその他の形で、ニューマンが当初考えていた以上の大きな影響を及ぼしている。
2. 善意が企業に10億ドルの価値をもたらす。その逆はない
「今やっていることが金儲けのため、あるいは評価額10億ドルの企業をつくるためなら、与えられる機会を自分で狭めている」
3. 時間の3割は人材確保のために使うべきだ
ニューマンは起業した当初、多くの人から頻繁にこうした助言を受け、ためらいを感じたそうだ。そして、恐らく最初の何年かは、自分の時間のうちの2%程度しか、このためには使っていなかったという。
だが、今では人材こそ最も重要なものであると認識している。適切な人材がそろっていれば、ビジネスモデルや製品は後から付いてくるというのだ。
WeWorkの共同創業者であり最高クリエイティブ責任者(CCO)であるミゲル・マッケルビーは昨年、全ての従業員にメールを送り、「ボーナスが支給されたら何に使いたいか」と質問をした。多数が「旅行をしたい」と返答したが、中には旅先で「人の役に立つことをしたい」との考えを示す者たちも多くいた。
それから数か月後、ニューマンらは従業員のうち190人にボーナスを支給することにした。現金を受け取るか、希望していた旅にかかる費用をWeWorkが支払うか選ぶよう伝えたところ、98%が旅の経験を選んだという。