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医療ロボット、AI、機械翻訳を中心に寄稿

(Photo by Sean Gallup/Getty Images)

近年、人工知能(AI)と並行して、ブレイン・コンピュータ・インタフェース(BCI)の研究が進められている。BCIを通じて人間の脳をコンピュータに接続することで、脳の電気信号を読み取り、コンピュータを制御することが可能となるなか、神経系疾患の診療に変化が起きている。

統合失調症は原因不明の病気であり、日本国内では100人に1人が罹っていると言われる。進学や就職など人生を大きく左右する出来事をきっかけに心のバランスを乱し、長期療養に至るケースは少なくない。

確実な治療法が見出されないからこそ、予測診療に注力しているのが米IBMだ。同社のアルバータ先端研究センター(CAS)と現地のアルバータ大学は、AIや機械学習ベースの “コンピュータ精神病理システム”を構築。この診断システムにより、74%の精度で統合失調症の発症を予測可能であるという。症状が似ているうつ病やアルツハイマー病と混同せず、いかに正確な予測を出せるかがポイントだ。

統合失調症に特有の症状として、妄想、幻覚、会話行動の変化、感情の平板化、思考力の低下、意欲の低下などが挙げられるが、これらの症状の程度の確認、経過の観察にも有用であるとし、統合失調症の診断・治療の効率の改善の面で期待が寄せられている。

全身運動を司る運動ニューロンが次第に侵されていく平均余命5年以内の不治の病、筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS)にもAI治療の可能性が見出されている。

英シェフィールド大学のトランスレーショナル神経科学研究所(SITraN)は、ロンドン市内に拠点を置く企業Benevolent AIと共同で開発したAIを用いてALS治療に有効な薬剤候補を発見。すでにALS患者の運動ニューロンの死を抑制し、発症を遅らせることが可能であることが確認されている。従来よりも高い治療効果が示唆されており、ALS治療のゴールドスタンダードと評されている。

同じく、スコットランドのエクセンシア(Exscientia)、米国のバーグ(Berg)、ヌメレイト(Numerate)、トゥーXAR(twoXAR)、アトムワイズ(Atomwise)、インシリコ・メディスン(InSilico Medicine)がAI創薬部門に参与している。インシリコ・メディスンにいたっては6月上旬、ALSに特化した創薬プラットフォームを立ち上げたばかりだ。

アジア諸国でも神経系疾患をターゲットとしたAI研究が今始まろうとしている。シンガポールの南洋工科大学は8月下旬、国立神経科学研究所(NNI)と共同でパーキンソン病や脳損傷を含む神経系疾患の診断や治療に有用なAIを開発することを表明した。

米グーグル傘下のディープマインドの研究チームは、神経科学専門誌『ニューロン』の電子版(2017年7月20日付)で、これまでの研究を振り返るなかで、学問としての人工知能と神経科学の在り方を示唆。人工知能および神経科学の知識を融合し、多角的な研究を展開していくことで、結果的に両分野の発展の道が開かれるとして、融合的研究を通じた両分野の発展の可能性を強調した。

人間の脳の研究とAIの研究がそれぞれ発展することで、神経科学神経系疾患の治療にまつわる新たなヒントが見出されていく可能性が高い。

文=大澤法子

 

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