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編集者/ライター

『2074、夢の世界』プロジェクトは4年がかりでじっくりと練られ、6月に入賞した3組の学生たちの表彰式が行われた。審査員には東京芸術大学美術学部長の日比野克彦氏らが名を連ねる。

アール・ド・ヴィーヴル、というフランス語のニュアンスを日本語に置き換えるのは難しい。直訳すれば「生活することの芸術」となるが、フランス流の「美しい暮らし」とでも訳すべきか。コルベール委員会は、フランスの誇るブランド81社と14の文化施設等で形成され、国を代表してアール・ド・ヴィーヴルを世界に広めることを目的とする。

「17世紀創業の老舗から、存命中のデザイナーの新しいメゾンまでが幅広く揃っているなんて、こんな組織は他に類を見ないでしょう」と語るのは、プレジデント兼CEOのエリザベット・ポンソル・デ・ポルト氏。ちなみにコルベール委員会ジャパンのチェアマンは、シャネルのリシャール・コラス社長だ。

委員にはジュエリーや銀器、香水、ファッションから自動車、ホテル、ワインまでの著名メゾンが名を連ね、フレンチラグジュアリーの発展を目指して戦略を定めるのだという。

「今回の来日は、我々のプロジェクト『2074、夢の世界』の仕上げが目的です。2074年の世界を舞台にしたSF小説を、東京藝術大学の学生たちがさまざまな手法で視覚化する、これまでにないアートイベントがヴェールを脱ぐのです」

荒唐無稽なプロジェクトだ。フランスの作家たちが書き上げたSF小説は、感染症の世界的な大流行を克服した人類がユートピアを具現するという内容。そのイメージを藝大生が絵画や写真、立体作品で自由自在に表現する。優秀作品3点は、10月にパリで開催されるFIACで展示される予定だ。

「今の時代、未来を悲観しない、ポジティブな考えを根づかせることは、ラグジュアリーブランドの役割の一つだと思います。未来が夢と希望に満ちていてこそのラグジュアリーなのですから」

コラボレーション先として藝大が選ばれたのは、アニメや漫画などのサブカルチャーが発達した日本の学生なら、ディストピアからの救済というイメージを巧みに視覚化できると考えたからだ。

「コルベール委員会の役割は、他国と文化的な対話を試み、相互の理解を推し進めること。文化の優劣をあらわにするのではなく、交流するのが目的なのです。したがって、相手国によってプロジェクトの内容は異なります。同じプロジェクトを他国でも展開することはありません」

フランス的なるものをただ押しつけるのではなく、共感できるものを提示することで、まずはソフトに、やがて根深く受け入れられようとする。これは日本としても学ぶところの多い、ごく洗練されたフランス的外交術ではないだろうか。

文=本間恵子

 

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