また、データセンターの処理能力も、一般的なワークステーションより圧倒的に高い。クラウドプラットフォーム間の競争が激化する中、企業向けサービス最大手のグーグルは、新たな機能の提供を明らかにした。
同社は5月に行われた開発者向けカンファレンス「I/O 2017」で、機械学習に最適化したチップ、「Tensor Processing Unit(TPU)」のセカンドバージョンを発表したが、この新型TPUが、間もなくグーグルクラウドを介して利用可能になる。これは、クラウドサービスの新時代の到来を告げるといっても過言ではない出来事だ。
個々のTPUの処理能力は180テラFlops(1秒間に180兆回の演算が可能)で、64個のTPUを相互接続した「TPUポッド」は11.5ペタFlopsの処理能力を発揮する。つまり、グーグルのクラウドTPUは、現在市場に出回っている最高品質の機械学習チップの12倍を超える処理能力を誇ることになる。
「クラウドの歴史はまだ浅いが、既に巨大なプラットフォームが形成され、あらゆる分野で活用されている。AIのパワーが加わることにより、クラウドがさらにパワフルなコンピューティング・プラットフォームになることは間違いない。我々のようにクラウド上でアプリケーションを提供する企業にとっては、非常に明るいニュースだ」とHRソフトウェアのCEO、Jeff Klemは述べている。
MSは「リアルタイムAI」を目指す
一方でマイクロソフトもクラウドにおけるAIの強化に取り組んでいる。マイクロソフトは現在、画像認識や言語認識をはじめとする20種類ものAIサービスをAzureの利用者に提供している。同社は、「Project Brainwave」というプロジェクトを立ち上げ、再プログラミングが可能なFPGA(field-programmable gate arrays)チップを用いることで、データセンターにおける「リアルタイムAI」の実現を目指している。
このプラットフォームは、グーグルのAIサービスよりもさらにパワフルで応用範囲も広いとされる。