テック業界のカリスマCEO、S・ドラキアの異色なマネジメント法

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クラウドベースのメール送信サービスを提供する米企業センドグリッド(SendGrid)のサミア・ドラキアCEOは、テクノロジー業界で最も評価されているCEOの一人だ。キャリア情報サイト「グラスドア(Glassdoor)」での評価は98%で、イーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグと同じ水準だ。

求職情報サイト「コンパラブリー(Comparably)」は、従業員数1500人未満のテック企業のCEOの中でドラキアを1位に選んだ。スラック(Slack)の人気CEO、スチュワート・バターフィールドすら凌ぐ評価だ。

このドラキアの高評価の鍵は、「サーバント(奉仕)リーダーシップ」と言われるマネジメントスタイルにある。これは1970年にロバート・グリーンリーフが提唱した言葉だ。グリーンリーフは通信会社AT&Tで40年近く働き、同社のマネジメント開発長を務めたこともある。

サーバントリーダーシップについての最初の著書で、グリーンリーフはこう述べている。「それはまず、何よりも先に奉仕したいという自然な感情から始まる。その後、意識的な選択から、リーダーになりたいと思うようになる」

権力や金銭的な利益に突き動かされる者はサーバントリーダーではない、とグリーンリーフは説明する。ある人物がサーバントリーダーかどうかを判断するには「奉仕されている側が人として成長しているか?」という簡単な質問の答えを考えればいい。

ドラキアは、ソフトウェア企業シトリックス(Citrix)の役員の座を退いた後、2014年にデンバーを拠点とするセンドグリッドに入社し、同社に自身のサーバントリーダーシップスタイルを持ち込んだ。

センドグリッドの主要事業は、メール送信の自動化だ。例えばエアビーアンドビー(Airbnb)やウーバー(Uber)を予約する時に受け取る自動メッセージは、センドグリッドから送られている。

ドラキアがセンドグリッドに着任した頃、設立から5年がたった同社の成長率は低下しつつあった。しかしドラキアはその後3年の間で軌道を修正。売り上げは2015年と16年に40%近く上がり、今年の収益は1億ドル(約109億円)に到達する見込みだという。
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編集=遠藤宗生

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