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2017.08.02

アンダーアーマーがリストラ実施へ、本社などで人員削減

Jonathan Weiss / shutterstock.com

スポーツ用品大手の米アンダーアーマーは8月1日、リストラ計画の一環として一部従業員を解雇する方針を明らかにした。小売業界にとっては困難な状況が続くなか、コスト削減に向けた対策を強化する。

解雇の対象となるのは、世界全体の従業員のおよそ2%に当たる280人程度。同社の広報担当者によると、このうち半数近くはメリーランド州ボルティモアにある本社の従業員となる見通しだ。また、リストラ関連費用として同社は今年、1億1000万~1億3000万ドル(約121億4500万~143億5000万円)を計上する。

急成長を遂げてきた同社はこれまで、長期にわたって投資家らの注目を集めてきた。だが、昨年にはそれまでの成長を維持することは難しいとの見通しを表明。業界全体を取り巻く環境の厳しさに加え、競合他社との激しい競争に苦しんでいることを認めていた。

ただ、創業者で富豪のケビン・プランク最高経営責任者(CEO)は同日、投資家やアナリストらに対し、「わが社は数年間にわたって急成長を遂げてきた。現在でも、成長企業であると確信していることを明確にしておきたい」と発言。同社は現在、「方向転換」に向けてさまざまな計画を進めていると説明した。

「ライフスタイルブランド」を目指す

プランクCEOによれば、同社は従来、男性向けスポーツウェアのブランドだったが、現在は女性・子供向け衣料にも注力している。また、米国のアパレル企業から国際的にアパレル・フットウェア・アクセサリーを取り扱う企業への転換を図っている。さらに、これまでの卸売販売ではなく消費者への直販に重心を移している。

幅広い層の消費者を取り込むことを狙いにアンダーアーマーが目指すのは、ライフスタイル提案型のブランドへの移行だ。すでに、衣料品とシューズの両分野で提供する商品の幅を拡大。カジュアル衣料のGAPからヨガウェアのルルレモン(Lululemon)まで、さまざまな企業との競争を視野に入れた事業を展開している。

また、米国内の実店舗の売上高への依存度を引き下げたい同社はインターネット販売と海外市場での販売を強化。売上高全体に海外市場での売り上げが占める割合は、22%に上昇している。

決算は増収減益

アンダーアーマーは同日に行った2017年第2四半期(4~6月)の決算発表で、通期の売上高の見通しをこれまで示していた11~12%から9~11%に引き下げた。主な原因は、北米での販売不振。

同期の売上高は前年比9%増の10億900万ドルでアナリスト予想の10億800万ドルを上回ったものの、最終損益は1200万ドルの赤字、1株利益はマイナス3セントとなった。

編集=木内涼子

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