ここ20年ほどで、整形手術の分野は劇的な発展を遂げた。世界ではこれまで行われた顔面移植手術は38件に上る。今後30年を見据えると巨大な変化がもたらされるだろう。
特に技術改善が進んでいるのが、手術前のプランニングだ。個人に合わせた手術法を構築するためのリソースが格段に増え、外科手術の正確性ははるかに高まった。術前のプランニングにより手術時間も短縮され、患者の安全性改善やコスト削減につながる。例えば、術前プランニングに1時間割けば、実際の手術時間が2時間短縮される場合もある。
こうした技術には、コンピューターを使用した手術プランニングや、本番前に手術を練習するためのシミュレーションアプリなどがある。
さらに、組織再建に使用する生物学的製剤も改善が重ねられている。従来は再建には患者の体の他部位から組織を移植する必要があったが、これらの製剤を使用すればその必要もなくなる。
美容整形の主流が、体にメスを入れるタイプの手術から、できるだけ体を傷つけない手術法へ変化してきたことも大きなポイントだ。レーザーはしみの除去だけでなく組織の引き締めにも効果的で、5年前に比べてより正確に照準を絞れるようになった。
また、注射製剤の品質も同様に向上している。長持ちするようになり、見た目も自然で深刻な副作用も最小限に抑えられるようになりつつある。
医療技術が進化を遂げるとともに、乳がんの早期発見も可能になり、関連した再建手術の件数も減るだろう。現在の最先端の手術も、将来は時代遅れのものになってしまうかもしれない。