コッターは、変革の失敗を生む2つ目の過ちについても指摘している。非効果的なリーダーは効果的なリーダーに比べ、ビジョンのコミュニケーションが10倍も不足しているというのだ。
「何十万人もの人が(多くの場合短期的な犠牲を出してでも)支援したいと思わない限り、変革は不可能だ。信頼性のある十分なコミュニケーションなしでは、多くの人の心をつかむことは決してできない」とコッターは述べている。
ザッカーバーグは、20億人のユーザーを誇るフェイスブックを通じ、人がつながる手段を変革してきた。また、彼自身も強力な説得者へと進化し、ビジョンのコミュニケーション不足に陥ることもない。実際、スピーチやプレゼン、フェイスブックの投稿で、ビジョンを繰り返し伝えている。
例えば、シカゴ南部の治安の悪い地区にある学校を訪れたザッカーバーグは「世界の絆を強めるには、人々が安全でいられるコミュニティーを構築しなければならない」と書いている。
ザッカーバーグは、コッター教授の推奨事項をそのまま実践している。「コミュニケーションに秀でた役員は、ビジョンを拡散するため既存のコミュニケーション手段を全て用い、メッセージを時間単位の活動に組み込んでいる」というものだ。
平凡なリーダーは、変化の到来を予期すると、その潮流に合わせて新たな航路を定める。しかし偉大なリーダーは、新たな航路を受け入れるためのチームを結集する。そのために必要なのは、明確で簡潔なビジョンを、早期に、頻繁に、そして一貫して伝えることだ。