経営破綻のドローンメーカー「Lily」 返金処理も未だ進まず

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今年1月に事業を停止した自撮りドローンメーカー「Lilyロボティクス」が、残りの資産を総額75万ドル(約8400万円)で処分した。

買い取ったのはLR AcquisitionとドローンメーカーのMotaだ。LR Acquisitionは45万ドル(約5000万円)で約70のドローンの試作品を含む特許や技術を引き取り、Motaは30万ドル(約3400万円)で顧客リストを含む商標権を手に入れた。

資産の売却が終わった今、既に代金を支払った顧客のうち、誰が資金を取り戻せるのかという疑問が残っている。Lilyは1月に事業停止を宣言した際、6万1450人の顧客から集めた3840万ドル(約43億円)を全額払い戻すと約束したが、現状で払い戻しを受けたのは半数ほどだ。

関係者は「全員への払い戻しはできないかもしれない」と話している。出資者や金融機関など、Lilyから資金を回収できていない債権者が多数残っている可能性もある。

今年1月にLilyを「プロモーション動画内で実在しないドローンの機能を宣伝し、消費者らを欺いた罪」で告発したサンフランシスコ地方検事局は「消費者のために破産裁判に関わっていく」と述べた。

Lilyが2014年に公開した自撮り機能を謳うドローンの動画は大きな話題となり、巨額の資金が集まった。動画ではドローンがユーザーを自動追跡し、高画質の動画を撮影できると紹介されていた。しかしLilyは「資金が急速に減少した」と発表し、1月に突然事業停止を発表。当局は共同創業者でCEOのAntoine Balaresqueが消費者に虚偽の情報を流したとして、告発していた。

Lilyと2人の共同創業者らに対する捜査は続いているが、そんな中でもBalaresqueは新たな職にありつけるかもしれない。裁判記録によると、Balaresqueが LR Acquisitionに入社する話が出ているようだ。

フォーブスは同社の弁護人にコメントを求めたが現時点で回答は得られていない。

編集=上田裕資

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