一方、10代の若者が最もよく使う言い回しの一つが「……で、何が言いたいの?」だ。(たいてい親に向かって使われる)
両者の共通点は、不機嫌な不満だ。チャーチルはプディングに味がないことに、10代の若者は話し相手(親)がはっきりと物を言わないことに不満を感じている。
スピーチやプレゼンの場に出席したことが一度でもあれば、あなたもチャーチルや若者に同意できるだろう。よく聞く「何が言いたいの?」や「さっさと要点を言え!」といった苦言を自ら発したこともあるかもしれない。
このような不満が生じるのは、シリコンバレーで最も影響力のあるベンチャー投資家の一人、ビノッド・コースラが提唱する鉄則に従わない話し方に原因がある。彼からの簡潔で賢いアドバイスはこうだ。「送られるメッセージは、受けとめられるメッセージと同一ではない」
現代人は時間に追われ、携帯などのさまざまな情報源により集中力がそがれている。そうしたせっかちな聴衆を説得しようとしているのに、要点を得ない話し方という万人に共通する間違いを犯してしまうのはなぜか? その理由は同じく万人共通だが、解決法もまた万人共通だ。
1. プレゼンのスライド
メッセージの画一性を保つため、企業の従業員は標準スライドセットを使うことを求められる。しかし、2人の人間が同じ話を同じように語ることなどあり得ない。そのため発表者は、ラスベガスのカジノディーラーがトランプのデッキを切るようにスライドをまぜこぜに使ってしまい、結果的に話の筋を失ってしまう。
解決法:伝えたいメッセージから絶対に離れないこと。また、スライドが論理的に並んでいることを確認する。
2. 時間的プレッシャー
聴衆の集中力が奪われているのと同く、発表者側の業務量も増加している。発表者は、他の業務を優先するため、発表の準備時間を犠牲にすることが多い。
解決法:米画家アンディ・ウォーホルの言葉を言い換えると、発表者は聴衆の前で15分間の名声を与えられている。1分たりともおろそかにしないこと。準備・練習時間を捻出し、入念に準備をしよう。
3. 大きな誤解
発表者は次のように考えてしまう。「聴衆はばかではない。自分たちがこの場にいる理由は分かっているはずで、私が全て逐一説明したら、ばかにされていると思って怒るかもしれない」
解決法:営業の「ABCの鉄則」に従おう。ABCは「Always Be Closing(常に受注を獲得しろ)」の頭文字だ。注文を追求すること。それも早い段階で、頻繁に。ためらっていては何も手に入らない。
プディングの中に主題は見つけられないかもしれないが、始点と終点の間の最短距離を見つけ、その距離を簡潔にたどることはできる。要点にはさっさと到達しよう!