実は難しい「ジェスチャー」を効果的に使うコツ

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よく行く区立の図書館にコミュニケーションロボットのペッパー君が設置された。館内の案内や本の借り方を説明してくれて人気者だ。ロボットはこんな風に身近なものになっていくのだろう。

ところで、ペッパー君に愛嬌を感じられるのは、音声が聞こえるときに腕や手を揺らすようなジェスチャーの役割が大きい。それは人間でも同じだ。果たしてあなたは、人前で何かを説明するときに、自分の腕や手の動きをコントロールしているだろうか。

私たちは大抵、自分ではそんなに動かしていないつもりでいる。しかし、録画した映像を見返すと、きっとびっくりすることだろう。自信があるときは身振りが大げさで、反対に自信がないときは、表情を読み取られまいとしていて、やはり腕や手を大きく動かしているのだ。

腕や手は可動域が広いこともあり、統制しにくい。画用紙に直線を引いてみれば、なかなかまっすぐにならないことからも、それがわかるだろう。ではどうしたら“いいジェスチャー”になるのか。ポイントを紹介しよう。

ジェスチャーで伝え方をコントロールする

まず、人前で話すときにジェスチャーを使うか使わないかは、話す内容よりも聞き手との距離で決める。

ジェスチャー(gesture)の語源は、運ぶを意味する「gestus」。つまり、会話中に動きをつけるのは、言葉の意味を運ぶのに身振り手振りでサポートする、ということになる。

だから、肉声が聞き手に届かない距離や人数になったら使えばいいのだ。プレゼンやスピーチでは、マイクを使うよう(な規模)になったら、もう片方の手はジェスチャーが入るのが自然だといえるだろう。

マイクを使うときのポジション

片手にハンドマイクを持っているなら、もう一方の手の位置は、ちょうどスマホを見るときにひじを折り曲げたような格好が適当だ。これなら、動かし始めるときに大げさにならないし、ボクシングのファイティングポーズのようで緊張感もある。下にダラっとさげているとノーガードでだらしなく見えるのだ。

腕の統制の仕方は、落ち着いている様子をみせるには、脇をしめ、折ったひじから先を肩幅から外に出す。指示棒をもったり、スクリーンにポインターを向ける手つきだ。

このとき手のひらを上むきにすれば、ものを差し出すしぐさで、事例を紹介したり提案するときにちょうどいい。逆に手の平を下に向けると、ものを置くしぐさで、説得したり指示するイメージになる。

激しく糾弾するときは、ロックのボーカルのようにこぶしをつきあげる。

ペッパー君のようなコミュニケーションロボットは、医療やサービス業の分野で今後が期待されている。東京オリンピック・パラリンピックのときも案内役でも活躍するはずだ。「2020年度には、87億4000万円(メーカー出荷金額ベース)になる」(「コミュニケーションロボットの可能性と将来性」矢野経済研究所 2017年)といわれている。

どんなジェスチャーをするロボットが増えるのか、楽しみだ。

文=中井信之

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