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「第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント」の第一人者。

shigemi okano / Shutterstock.com

日本の分譲マンションストック600万戸の「高齢化」が進行している。2031年には築30年を超えるマンションが406万戸、40年超えが235万戸、50年超えが106万戸となる見込みだ。

建物と同時に所有者も高齢化しているうえ賃貸化も進み、さらに昨今は「空き家問題」も浮上。一戸建てよりマンションの空き家の方が2倍以上も多いといった総務省データもある。

築年数が経過したマンションを適切に維持管理するには、所有者で構成する「マンション管理組合」が有効機能している必要があるが、所有者の高齢化で理事のなり手がいないなどの理由で「機能不全」に陥りそうなマンションが多く見られる。

そうしたなか、マンション管理組合の理事などに建物や法律に詳しい専門家がいない場合、第三者に大規模修繕見積もりの妥当性や、そもそもその工事が必要なのか確認するための建物の点検を行わせるといった手法が、多くのマンションで採用されるようになってきた。

管理組合が有効機能している場合であっても、大規模修繕の見積もりなどは、管理会社や設計事務所、コンサル会社などが間に入って取りまとめるのが一般的だろう。

ここで管理組合は、管理会社や設計事務所、コンサル会社に対し、組合の利益最大化を図るべく、大規模修繕見積もりの妥当性や工事の必要性をアドバイスしてもらうことを当然期待している。しかし、実際にはまったくそうなっていないどころか、むしろ管理組合側に損失を被らせているケースも散見されるのだ。

マンションの大規模修繕工事では多額のマネーが動く。管理会社や設計事務所、コンサル会社、管理会社などが大規模修繕工事の取りまとめを行う場合、裏で工事業者からバックマージンが渡されるのは、この業界では半ば常識だ。



このことは、相見積もりをとればわかる。「そんな低価格でコンサルティングを引き受けられるわけがないだろう」といった水準でコンサル料の見積もりを出せるのは、まず間違いなく裏でマージンの取引があると思われるケースだ。

コンサル料を割安に見せておき、実はその分、あるいはそれ以上を上乗せした工事見積もりを出させ、成約になれば工事会社からバックマージンをもらうわけだ。

このバックマージンは結局、「マンション管理組合が支払う工事費」から出ているわけで、本来の工事費はもっと安かったはず。こうしたケースでは、バックマージンを渡そうとしない工事会社は、管理組合に紹介されることはない。見積もりに参加している工事会社が談合していることもある。

神奈川県のとあるマンションでは、築30年が経過したため2度目の大規模修繕を行うことになり、とある設計事務所にコンサルを依頼。すると4社が、組合が管理している修繕積立金額とほぼ同額である、2億2000万円の工事代金を提示した。

「積立金を、今回の工事で使い切らせようと画策しているのではないか」と複数の理事が疑問を持ち、別ルートで独自に見積もりを取ったところ、60パーセント程度の1億3000万円で済むことがわかった。

もちろんこうしたことは違法ではないが「第三者性」をうたっておきながら、チェックをする対象からバックマージンを受け取っているといった癒着構造の中で、はたしてコンサルとして言いたいことが言えるのか。

マンションを取り巻く業界の構造、仕組みがどのようになっているのかを知ることは、修繕積立金のムダな支出を減らし、必要なところに適切にコストを掛けることにつながる。大規模修繕の見積もりを出す際には、バックマージンなどの癒着構造がない第三者を立てることが重要だ。特に不自然なほどの低価格でコンサルを申し出てくるようなところがあれば要注意といえよう。

文=長嶋 修

 

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