計画では、まずISSにAxiomのモジュールをドッキングさせ、宇宙飛行士や研究者、旅行客などから成る7人のクルーを乗せて切り離すという。船内には実験装置や製造設備が備わっている。Axiomは、既製の部品を使い、簡単に組み合わせる工法により建設コストを大幅に削減する予定だ。
Axiomの戦略開発担当ヴァイスプレジデント、Amir Blachmanによると、同社の宇宙ステーションは多目的モジュール、製造モジュール、電気・推進モジュールなど、少なくとも7つのモジュールで構成されるという。
Blachmanによると、宇宙ステーションの主な収益源は、各国政府が派遣する宇宙飛行士の受け入れや、企業や個人による研究や製造の実施、宇宙探査システムのテスト、スペース・ツーリズムなどだという。高性能光ファイバーの製造と、製薬会社向けのタンパク質結晶の生成は大きな可能性を秘めており、特にZBLANという特殊ガラスを使用した光ファイバーの製造は収益の柱になる予定だという。また、地球低軌道では高品質なタンパク質結晶を生成することができ、アレルギーや炎症反応、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなどの治療薬開発への貢献が期待されている。
宇宙飛行士のトレーニングを年内に開始
Axiomによると採算性の調査に必要な費用と、数年分の事業運営費は既に調達しているという。宇宙ステーションの建設や、宇宙ミッションの実施に必要な費用は、新たに調達する資金や、宇宙飛行士のトレーニングで得られる収益、宇宙ツアーの手付金などで賄う予定だという。Axiom は、スペースXのファルコン9ロケットで最初のモジュールを打ち上げ、地球低軌道に乗せることを検討しているが、現段階ではまだ契約締結に至っていない。
Blachmanによると、NASAは民間宇宙ステーションの実現に非常に協力的だという。現在、NASAは年間予算190億ドルのうち、35億ドルをISSの維持に費やしているが、Axiomの宇宙ステーションを活用することでコストを削減し、その分を深宇宙探査ミッションに充てたい考えだ。深宇宙を航行する上で必要となる、生命維持システムやナビゲーション・制御システム、放射線遮蔽などのテストをAxiomの宇宙ステーションで実施することが可能だという。
Axiomは、宇宙飛行士のトレーニングを年内に開始し、2020年までに宇宙飛行士と旅行者をISSに送り込む予定だ。最初のモジュールは2021年までに打ち上げ、ISSの運用が終了する2024年までに建設を完成させる計画だという。その後、Axiomの宇宙ステーションはISSから切り離され、高度400kmの軌道を30年にわたって周回する予定だ。