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科学と医薬を担当。21世紀は生物学の世紀であると信じている

CHAINFOTO24 / shutterstock.com

米製薬大手アラガンは、主力製品のしわ取り剤「ボトックス」がうつ病の治療薬として効果があると見込んでいる。治療薬としての使用の安全性と有効性などを確認するための臨床試験の最終段階、第3相(フェーズ3)を実施する計画を明らかにした。

神経をまひさせることで作用するボトックスは既に、偏頭痛の治療薬としての利用も拡大している。うつ病については、治療に適用できる可能性を最初に指摘したのはアラガンではなく、ドイツとスイス、米メリーランド州にある2つのグループだ。それぞれに小規模な試験を実施したところ、いずれも有効性が高いと見られる結果が得られた。アラガンはこれらの結果を受け、自ら米国内の35か所でより大規模な試験を実施することを決めた。

分かれる見解

アラガンは4月5日、患者258人を対象としたフェーズ2の試験結果のデータを発表。これに基づき、新薬の開発を目指して次の段階に進む方針を決定したと説明した。だが、コロンビア大学精神医学部のジェフリー・リーバーマン教授は、「試験の実施方法について、結果が説得力あるものだと判断するのに十分な説明がなされてない。結果には説得力がない」との考えを示した。データは新薬開発を次の段階に進めるべきと考える根拠にはならないという。

アラガンの臨床試験では、ボトックスの投与量を異なる2単位(30単位と50単位)に設定。それぞれを、プラセボ(偽薬)を投与するグループと比較した。効果は患者の精神状態を詳しく把握するための「モントゴメリー・アスペルグうつ病評価尺度(MADRS)」によって測定した。

試験期間は6週間としたが、終了時点でいずれの投与量についても統計学的に顕著な効果は確認できなかった。だが、少ない単位の投与量のグループでは、わずかながらプラセボ投与グループの結果との間に違いが見られた。

投与量が多い方のグループにより大きな効果が見られなかったことが、リーバーマン教授が結果を信用できない大きな理由の一つだ。だが、アラガンのグローバル開発担当の上級副社長は、うつ病の治療薬として有効である可能性はあると語る。

うつ病の治療薬の臨床試験では、プラセボ投与のグループが予想以上に良好な結果を示す場合もあり、試験中の薬の効果を低く見せることがあるのだという。また、投与量が多い方のグループの結果の中にも、効果を示す兆候はあったという。

アラガンの別の幹部もまた、これまでに実施された全ての試験結果を合わせて考えれば、ボトックスは投与方法によってうつ病の治療効果があると見ることはできると主張。次の段階に進むことへの自信を見せている。

ただし、アラガンが実施した臨床試験については、疑問視すべき点が一つある。対象者を女性のみとしたことだ。同社は次回の試験では男性も含める計画だとしているが、リーバーマン教授は、より大規模でリスクも大きくなる最終段階の臨床試験に移行する前に、小規模な試験を再度実施すべきだと指摘している。

一部ではすでに利用

一方、米国内ではこれまでのボトックスの臨床試験の結果を受けて、既にうつ病の治療として処方する医師も出始めている。抗うつ薬は、利用する患者のおよそ半数にしか効果がない。新たな選択肢は切実に求められている。

編集 = 木内涼子

 

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