アップルのこうした動きに対し、Androidタブレットのメーカーは対抗する構えを見せていない。むしろ、アップルにとって最大の脅威となるのはウィンドウズ10タブレットだ。マイクロソフトは、「Surface 3」でアップルの目指す方向性をいち早く体現した。Surface 3はウィンドウズ10を搭載し、キーボードを取り付ければノートパソコンのように利用することができる。
サムスンがモバイルワールドコングレス(MWC)で発表した「ギャラクシーブック(Galaxy Book)」もウィンドウズ10を搭載している。同社は、アンドロイドタブレットで培ったノウハウを活かしながら、OSには拡張性と柔軟性に優れたウィンドウズ10を採用したという。
ウィンドウズ10タブレットの強みは、消費者が初めから「ウィンドウズパソコン」という認識を持っていることだ。アプリやゲームをダウンロードしたり、他のデバイスと同期できるなど、使い慣れたウィンドウズパソコンと同じ操作が可能なことはユーザーにとって大きな魅力だ。このため、パソコンの代わりにウィンドウズ10タブレットを購入しようと考える消費者は多いだろう。
iPadも最新のノートパソコンに匹敵する基本性能を備えているものの、多くの消費者はそれを理解していない。これには、アップルのマーケティング手法が大きく影響している。同社は、手書き入力や、ファイルにメモ書きをして送信できるといった機能の宣伝に注力しており、一番伝えるべきメッセージが消費者に届いていないのだ。
このままウィンドウズ10タブレットがノートパソコンの代替品に最適だというイメージが定着してしまえば、アップルとティム・クックには厳しい戦いが待ち受けているだろう。