これは頭にかぶる特殊な脳造影ネット(EEG)で検知した脳波をミリ秒単位でロボットに送信し、作業の間違いを指摘したり修正させるシステムだ。
研究チームによると、今回のデモ版は、今後さらに洗練された人間とロボット間のコミュニケーションでの利用を想定しているという。「人間がキーボードでコマンドを打ったり、ボタンを押したりせずに、直感でロボットを操作できるようにしたかった」とCSAILのディレクターのDaniela Rusはプレスリリースで述べている。「将来は自動運転車や工場のロボット活用の分野で、このテクノロジーの利用を想定している」
「心の中でロボットの動きに同意したり、否定するだけで、動きがコントロールできる。特別なトレーニングを積んで、意識をコントロールしなくても、マシンが自動的に感情をくみ取るテクノロジーを開発した」とRusは言う。
実験に用いられたロボットはRethink Robotics社製のヒューマノイド「Baxter」で、人間の脳が発するエラー信号のERPを10から30ミリ秒で検知し、動作を修正する。今回の実験はBaxterにテーブルの上のペンキの缶と筒状の電線を見分けて、指定の場所に仕分けるタスクを与え、その間違いを人間が指摘する形で行われた。
CSAILのStephanie Gilはプレスリリースに次のようなコメントを寄せた。「ロボットが判断に自信が無い場合、人間の反応を待って正解を導き出す。人間の脳の信号を読み取ることで、ロボットは動作の正確性を劇的に向上させ、人とロボットの間の会話が進んでいく」
主任研究員のAndres F. Salazar-Gomezは「このシステムは言葉を発することが出来ない、障害を持つ人々の利用も想定できる」と述べている。