少なくとも、ソーシャルメディアを通じて優れた才能を発掘する「クラップイット(Clapit)」の調査結果からは、そうした傾向が読み取れる。主な結果調査は、以下のとおりだ。
・ 有名になれるなら今の仕事辞める ─25%以上
・ 弁護士になるより有名人になりたい ─30%
・ 医師になるより有名人になりたい ─23%
・ 大学の卒業資格を得るより有名人になりたい ─10%
・ 有名人になれるなら家族と縁を切ってもいい ─8%
ミレニアル世代にとっては、有名であることこそ本当の「文化資本(個人的資産)」なのだ。ただ、名前を知られることは必ずしも才能や長所に関連したものではなく、無数の利益を得るための取引に必要な自分自身の「担保」のようなものだ。
有名になるための障壁は、ここ数年で大幅に減少した。テクノロジー、特にソーシャルメディアの影響は大きい。有名になるには、かつては映画やテレビなどのメディアに登場したり、特定の分野のリーダーとして秀でた存在になったりすることで、信頼性を得る必要があった。
だが、現在では30歳以上の人たちの間でほぼ無名である一方、ユーチューブやインスタグラムの中だけでは「有名人」だという人たちの一つの「階級」が出来上がっている。この人たちは、その人気に乗じて若い消費者から利益を得ようとする企業から多額の報酬を得て、荒稼ぎしている。有名になることがあまりに簡単そうに見えるからこそ、ミレニアル世代はそうなることを熱望するのかもしれない。
Z世代はさらに「有名」を重視か
クラップイットの調査は対象をミレニアル世代に限定したものだが、その他の調査結果では、Z世代はより一層、ソーシャルメディアの影響を強く受けていることが示されている。
2014年に米誌バラエティが実施した調査によれば、13~18歳の若者たちの間で「メディアに登場し、最も影響力がある有名人」に挙げられた5人は、全員がいわゆる従来の「有名人」ではなく、ユーチューブの中のスターたちだった。
また、カリフォルニア大学ロサンゼルス校が9~15歳の子どもたちを対象に行った調査では、ソーシャルメディアの利用が「有名であることの重要性」に関する考え方に大きく影響していることが確認された。
回答者の33%が、有名であることは自分の将来の成功に「ある程度」またはそれ以上に「重要だ」と答えた。そのうち「非常に重要」だと答えた子供たちのうち54%は、頻繁に自分の写真をソーシャルメディアに投稿し、掲載している情報を更新していた。
伝統的なアメリカンドリームの実現に向けた道を開くために、ホワイトカラーとしてのキャリアを築こうとすることはこれまでになく難しくなっている。一方、ほんの何回かのクリックで、自分の仕事や自分自身を何百万という人たちの眼前にさらすことはかつてなく簡単になっている。