ここで少し状況を整理しよう。全体的な数字を見ると、2016年のホリデーシーズンの売上は実際に好調だったということができる。米国勢調査局が公表しているデータによれば、2016年11月の小売売上高は2015年11月と比べ5.3%上回った。
しかし、多くの店舗は売上の減少を報告している。となると、このお金はどこで使われているのだろうか?
そこでホリデーシーズン初期の数字に注目すると、記録的な数のオンラインショッピングが行われていたことがわかる。この傾向は目新しいものではなく、2017年を通じて続く可能性が高い。つまり、オンラインショッピングにおいては、2017年もアメリカ人は消費を続け、そのペースは加速する傾向にある。しかし、オンラインでの売上が増える一方で、多くの実店舗では客足が減少することが予想される。
実際、オンラインショッピングへの移行によって、2016年11月までの3か月の対前年比売上は、総合スーパーで1.8%、百貨店で6.4%、家電用品で4.6%それぞれ減少し、実店舗が打撃を受けていることがわかる。
一方で引き続き成長が見られるセクターもある。家具・インテリア店は対前年比4.1%、食品・飲料品店は同2.8%、医療&介護用品店は同 6.6%、衣服・アクセサリー店は同 1.1%増加し、いずれも同時期の売上が好調だった。
消費者の支出全体としては、2017年も成長の年になりそうだ。では、実店舗やオンラインに関わらず、消費者は具体的に何にお金を使うのだろうか?
家電用品の「店舗」の売上が減少している一方で、米商務省経済分析局の個人消費支出(PCE)データによると、同時期の電子機器へのPCEは4.9%、家庭用電気製品へのPCEは1.25%増加している。店舗売上とPCEの違いは、消費者がこれらの商品を実店舗ではなくオンラインで購入するようになりつつあることを示唆している。
住宅リフォーム部門も成長し続ける傾向にあるが、以前にも予想されていたように、新規住宅の建設はややペースが落ちるかもしれない。それでも住宅所有者たちは、今後もDYIのリフォームや小規模なリノベーションを行い、この部門の成長は続くと見られる。
また、消費者向けパッケージにもかなりの支出が行われている。消費者向けパッケージのPCEは(11月までの3か月で)対前年比2.9%増と加速している。この傾向を後押ししているのが、前向きな消費者心理と、消費者が外食よりもテイクアウトや家での食事を選ぶようになっていることだ。
経済指標や消費者の動向から、2017年も各種サービスへの消費が続くと予想できる。また、所得の増加とそれに伴う購買意欲の高まりによって、自動車産業および自動車の売上が再び上向きに転じる可能性が高い。
全体として言えることは、ニュースの見出しだけに騙されてはならないということだ。ニッチな分野の実店舗型小売業者はやや苦戦しているものの、人々は2017年も消費を続けられる良い状態にある。