両社の特許裁判は、米最高裁がサムスンの主張を支持してようやく終止符が打たれることになった。そして時を同じくして、サムスンが再びiPhoneの主要サプライヤーの座に返り咲こうとしている。
iPhoneの部品の中で最も高価なのは、ディスプレイパネルと、NAND型フラッシュメモリやDRAMなどのメモリチップだ。調査会社IHS Markitの試算によると、iPhone 7(32GBモデル)の材料費219.9ドルのうち、25%以上をこれらの部品が占めるという。
来年、サムスンは新型iPhone向けに有機ELディスプレイとNAND型フラッシュメモリを供給する予定で、DRAMを加えると数百社あるiPhoneのサプライヤーの中で最も多くの部品を供給することになる。
ブルームバーグは、iPhoneの10周年記念モデルにはエッジスクリーンが搭載される予定だと報じている。「サムスンは曲面有機ELディスプレイを大量生産できる世界で唯一の企業だ」とヒュンダイ証券のアナリストであるジェフ・キムとケビン・キムが話す通り、アップルがサムスンを選んだのは自然の成り行きだと言える。
サムスンはNAND型フラッシュメモリの供給量でも世界首位で、市場シェアは三分の一を超える。しかし、サムスンは2012年のiPhone 5 で、アップルがメモリに電磁波シールド技術の採用を求めた際にコスト高を理由にこれを断り、それ以降のiPhoneにメモリを納入していない。サムスンの穴はこれまでSKハイニックスと東芝が埋めていた。
サムスンは2014年に15兆6,000億ウォン(約1.6兆円)を投じて韓国に半導体工場を建設した。来年工場の稼働を開始するに当たり、同社は大口のバイヤーを探していたとされるが、再びiPhone向けに供給することが決まった。アップルは、DRAMについても市場で60%のシェアを持つサムスンから引き続き調達する予定だ。