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2014年10月、消費者とプロを繋ぐインテリアと住まいのキュレーションプラットフォーム「iemo」は、DeNAに買収された。創業からわずか9カ月。買収額は、iemoを含む二社で50億円。しかも、iemoのCEO村田マリを、DeNAの執行役員に就任させた。村田は3年前にも自社をgumiに売却しており、日本初の女性シリアルアントレプレナー(連続起業家)となった。

「事業計画は小説と同じなんです。小説は妄想であり、ハッピーエンドですが、読む人の気持ちを盛り上げるように、事業もみんなに夢を信じてもらい、本気で達成するんだと妄信させるのは同じです。(中略)」

 そして、小説に舞台と時代設定があるように、事業もどの業界で何をいつやるかが鍵となる。村田が身につけたのは、「次に来る波」を読む力だ。彼女が目の当たりにしたのは、「大きな波が来るとき、すでにサーフボードを抱えて沖にいる人々」だった。
「学生時代にインターンとしてサイバーエージェントで働いているころ、まだ小さな会社でした。でも、藤田晋社長がネットバブルという波に乗って26歳で上場したとき、社長がどんどん強い波を受けて遠くまで進んでいく姿をそばで見ました。次が29歳のとき、グリーの田中(良和)君たちと中国を視察した際、ソーシャルゲームの製造をアメリカから請け負っていた中国人の25歳くらいの社長たちが、たった1年で従業員を何倍にも増やしていく姿を見ました。視察した全員が、次はゲームの大波が来る!と興奮して、私も携帯ゲームへ事業転換をしました」

 低空飛行を続けた後、ゲームで成功した彼女は、自社をgumiに売却。そして3度目の波に気づいた。モバイル市場のスマホ化と、住宅マーケットの動きという2つのタイミングである。これが、「iemo」に繋がっていく。住宅市場は、政府と業界が新築販売から中古住宅の質を高めるリフォーム事業に大きく転換を図り始めている。それに彼女はこう思った。
「衣食住のうち、衣と食はZOZOTOWNや食べログなどがあるのに、住宅は金額が大きいこともあり、パソコンで慎重に調べるという考え方が根づいています。しかし、世の中のスマホ化が目に見えてきたので、空いた時間に手軽にスマホで閲覧できるようリプレイスする好機だと思いました」

 洒落たインテリア写真など1万点以上まとめたiemoは、創業後すぐにアクティブユーザー数が月間150万人を突破。DeNAなど大手が買収に名乗りを挙げて買収されるや、DeNAからの出向者で従業員数は20人を超えた。アイデアと大波の直感が買収に繋がり、会社自体を大きくすることに成功したのだ。

 計算ずくで事業をやっているように見えるが、ここにも村田のもう1つの体験が生きている。
「中央区のある一定の物件は、ほとんど内見したほど、私は物件マニアなんです」と、彼女は笑う。
「(中略)それに、Airbnbやアパート貸しのサイトを見ては、世界のいろんな都市のアパートで宿泊を体験してきました。パリのアパルトマンに泊まり、マルシェで買い物をして暮らしたり、ミラノではおばあちゃんの家に泊まったり。言葉はわからなくても、一緒にキッチンで料理をしながら、現地の生活を楽しむんです。(中略)」

 そして彼女は気づいた。日本人は画一的な家に住んでいるけれど、ライフスタイルに合った家の形があってもいいじゃないか、と。日本人の家への考え方を変えて、百人百様の家を実現したい。そう考えた彼女は、「家をモバイルする」という意味から「iemo」と名付けると、こう決めた。
「日本を色鮮やかな国にする。それがiemoのミッションです」

 家を作ると書いて「作家」と読む。村田は知らないうちに念願の「作家」になっていたのだ。

藤吉雅春

 

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