チポトレのスティーブ・エルズ共同創業者は10月下旬、アナリスト・投資家向けの電話会議の中で「当社は史上最悪ともいうべき年から復活に向かっているが、まだ満足はしていない」と語った。
同社の第3四半期(7~9月期)の決算は、既存店売上高はアナリスト予想(18.7%減)よりもはるかに悪い21.9%減だった。最も悪かった第1四半期(36.4%減)から改善してはいるものの、4四半期連続で2桁の下落を記録し、いつになったら復活の兆しが見えるのかと懐疑的な見方が広がっている。
投資家たちも依然、チポトレから距離を置いている。同社の株価はこの12か月で44%下落し、現在は368ドル(約3万8,500円)で取引されている。食中毒騒動(大腸菌だけでなくノロウイルスやサルモネラ菌もあった)が起こる前の株価は750ドル(約7万8,500円)に達し、利益幅は28%、同一店増収率は常に2桁台を維持していた。
かつての栄光を取り戻すため、チポトレは業績回復に向け懸命な取り組みを続けている。食中毒対策の徹底した見直しを行い、顧客を引きつけるためのさまざまなプロモーションやディスカウントも実施している。夏には、1か月のうちに所定の回数訪れると無料でブリトーを提供がもらえる「チポトピア」というキャンペーンも展開していた。
だがこうした取り組みでも思うような成果は得られていない。「チポトピアで常連客を取り戻すことには成功しても、総合的な業績はあまり改善されていない」と、モルガン・スタンレーのアナリスト、ジョン・グラスは顧客向けメモに記した。証券会社ジェフリーズのアナリスト、アンディー・バリッシュは、ブリトーを安く提供することはブランドを「安っぽく」することだと指摘している。
そこでチポトレは路線を変更する考えを表明。全米でテレビCMを展開し、チョリソーやデザートなどの新メニューの追加、オーダープロセスにハイテク機器の導入を増やすなどの取り組みにより、2017年に利益幅の20%増、1株当たり利益10ドルの水準を回復したい考えだ。