「人は、毎日の生活に欠かせない製品に対して愛着心を抱くものだ」とグーグル内に新たに設立されたハードウェア事業のバイスプレジデント、リック・オステロは話す。オステロによると、インターネット上でやりとりされる情報量がますます増えているこのタイミングだからこそ、ハードウェアとソフトウェアを一体で提供することに大きな意味があるという。
「ハードウェアとソフトウェアを同時に開発することで、グーグルアシスタントを最大限活用し、長年に渡るソフトウェア開発のノウハウを役立てることができる。モノ作りの経験があるグーグルにとってハードウェアを強化することは自然な流れであり、長期的に取組んでいくつもりだ」とオステロは話す。
音声アシスタントでアマゾンに対抗
発表された数々の製品の中でも、グーグルの事業に最も大きなインパクトをもたらすのはグーグル・ホームだ。先行してリリースされたメッセージングアプリ「Allo」はグーグルアシスタントに対応した最初のプロダクトで、公開から2週間で500万ダウンロードを記録した。
グーグル・ホームは音声で会話ができるため、Allo以上にグーグルアシスタントの利用機会が増えることが期待される。グーグル・ホームはまた、ユーチューブやパンドラ、Spotifyなどのストリーミングサービスに対応している。
グーグル・ホームは、先行するアマゾンの「Echo」に真っ向から対抗する製品だ。データ量が700億を超えるグーグルのナレッジグラフにアクセスすることができ、「OKグーグル」と呼び掛けて質問をすれば、自分でウェブ検索をしなくても、ウィキペディアなどのサイトから関連情報を抽出して必要な情報を瞬時に提供してくれる。また、グーグル・ホームはグーグルの他のデバイスと連携しており、例えばショッピングリストを作成したら、後でPixelで同じリストを参照することができる。
他にも、カレンダーの予定や交通情報、天気予報などを読み上げることも可能だ。「グーグル・ホームを使えば、大統領のように一日の予定についてブリーフィングを受けることができる」とグーグルのリシ・チャンドラは発表イベントで述べた。
グーグルアシスタントには、オンデマンドで音楽を再生するといった「ダイレクトアクション」と、ウーバーの配車やレストランを予約するといった「会話アクション」の2つの機能が存在する。
他に発表されたグーグルブランドのハードウェアには、人気製品「Chromecast」の最新モデルや、Wi-Fiルータ「OnHub 」の後継モデルなどが含まれる。新型Chromecastは、テレビに接続して簡単にビデオや音楽のストリーミングが楽しめるデバイスで、販売価格は最新のApple TVよりもはるかに低く設定されている。また、Wi-Fiルータは複数台を連携させて家の隅々までネット接続を実現することができる。