また、SU2Cが支援した研究者は、米国食品医薬品局(FDA)が先ごろ承認したファイザーの乳がん治療薬「イブランス」(一般名:パルボシクリブ)や、セルジーンの膵臓(すいぞう)がん治療薬「アブラキサン」(一般名:パクリタキセル)などの研究にも関わってきた。
直面する新たな問題
ただし、こうした努力によりがんを克服した患者「がんサバイバー」が増えているということは、コインの裏表とも言うべき別の課題を浮き彫りにしている。米国立がん研究所(NCI)は、この点に関する精査の必要性を訴えている。
NCIによれば、米国のがん経験者は2040年には現在の1,550万人から2,610万人に増加すると予測される。米がん学会(AACR)の学会誌「Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention(がんの疫学・生体指標・予防)」に掲載された論文によると、その主な理由は団塊世代の高齢化と、より効果的な新たな治療法の増加だ。
NCIは、そうした中で新たに課題となるのは、がん経験者に占める65歳以上の割合が現在の62%から、2040年には73%に増えると推測される点だと指摘する。高齢の患者はがんと同時に、加齢に伴う別の病気にかかる可能性が高い。そうなれば、長期にわたるがん治療の副作用の影響をより強く受けることになる。
がん予防を専門とするNCIの研究員で論文の主著者であるシャーリー・ブルースマンは、「米国でがん経験者が増加する理由は、他にもある」「早期発見につながる検査方法や治療法の改善などだ」と説明している。
高齢のがんサバイバーと併存症
また、ブルースマンによるとNCIはがん経験者に関する1975~2011年のデータと米国勢調査局のデータを基に前述のような予測を立てたが、その際には別の意外な発見もしていた。