女性はより積極的で、男性はより受動的? 仕事における男女差の真実

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男性と女性では職場での姿勢に違いがあることは、これまで複数の研究によって示されている。たとえば男性はよりリスクを取り、出世や昇給を求める傾向が強いのに対して、女性はよりチームの一員として仕事をする傾向が強い。

だがそうした違いの多くは、生物学的な特徴に基づくものではない可能性が十分にある。それよりも、男性と女性は、社会がそれぞれに期待する役割に沿って行動している可能性があるのだ。

「火星と金星」論の誤り

ベストセラー『男は火星から、女は金星からやってきた』の中で、著者のジョン・グレイは、男性と女性では世界の受け止め方が異なり、その結果コミュニケーションをとる上で多くの困難が生じると結論づけた。彼の考え方を圧倒的に支持する声は多いものの、幅広い研究は、彼の主張の多くが誤りであることを証明している。

心理学者のジャネット・シブリー・ハイド博士は研究によって、男性と女性は心理学的にはむしろ似ていることを発見した。彼は性別による違いに関する過去の研究や複数のベストセラー著書、評判になった雑誌記事を検証。その結果、男性と女性が型にはまったパターンに陥る傾向があるのは、生物学的な違いが理由ではなく、男性と女性は大きく違うという記事や報道を「信じている」からだと結論づけた。

個人の性別を隠して行われた研究では、参加者たちは型どおりのパターンには陥らなかった。女性はより積極的、男性はより受動的だったのだ。

ハイドはまた、性別による差は年齢によって変化するとも指摘。両者の違いは生まれながらのものではなく、男性と女性の果たす役割は環境によって決まると主張する。

期待値の差が原因?

男子と女子の数学力は幼いうちは差がないが、高校になると男子の方がやや優位に立つ。これは生物学的な理由ではなく、社会的な期待が理由である可能性がある。

たとえば当初発売されたティーン・トーク・バービー(お喋りするバービー人形)が販売中止になった理由は、バービーの喋る言葉に「数学って難しい」というものがあったからだった。女子は数学ができない、という決めつけを定着させると批判されたのだ。
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編集=森 美歩

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