ベロダインは、ターゲットにレーザーを照射することで距離を測るライダー(Lidar)センサーのメーカーだ。ライダーは建物や他の自動車、道路の白線などを検出するために自動車に搭載される。ライダーセンサーは自動運転車にとって最も重要なコンポーネントの1つであり、絶えず周囲をスキャンして3Dマップと照合する。ベロダインはグーグルやトムトム(TomTom)、Bing、バイドゥなどにこの技術を提供している。
バイドゥは同社が提供するマップのストリートビューを作成するのにベロダインのライダーセンサーを利用している。このストリートビューの作成には、同様の技術を搭載したグーグルのストリートビューカーに酷似した小型車を使っている。
さらにバイドゥはグーグルのように、このマップを自動運転車に活用しようとしている。既にBMWと提携してベロダインの技術とバイドゥのマップを使った自動運転車の試験プロジェクトを立ち上げ、2015年12月から北京などの都市で試験走行を始めている。
バイドゥは7月、自動運転車の大量生産を5年以内に開始すると発表した。この自動運転車には同社のマップと、2015年9月に公開された独自開発の自動運転車向けオペレーティングシステムであるバイドゥ・オート・ブレイン(Baidu AutoBrain)が導入されるという。
独自地図でグーグルを追撃するバイドゥ
自動運転車が大量生産されるとなればライダーセンサーが大量に必要になるが、ベロダインのものが採用されるかは分からない。7,500万ドルの投資は比較的小規模であり、極めて重要なコンポーネントの生産をアメリカの企業に頼りたいとは思っていないはずだ。それではなぜ出資したのか。
出資の主な目的は、ライダー技術の獲得のようだ。バイドゥは技術を出来る限り学び取り、将来的に独自のライダーを生産するだろう。いずれにせよベロダインの企業価値は2020年までに10億ドルに達すると見る報道もあり、7,500万ドルは手堅い出資といえるかもしれない。
フォードもバイドゥと同様に主に自動運転車のパイロットプロジェクトにおいて以前からベロダインのライダーセンサーを使ってきた。フォードも最近、5年以内に一般道における自動運転車の試験走行を開始すると発表した。
フォードとバイドゥは将来的に協力するかもしれない2つの接点を持っている。その一つがフォードが中国で販売する車種の一部に導入したバイドゥ・カーライフ(Baidu CarLife)。これはアップルのCarPlayのようなサービスで、バイドゥの人気アプリが自動車内で利用できるものだ。
2つ目のつながりはさらに興味深い。バイドゥがストリートビューの作成に使っている自動車を生産しているのは長安汽車だ。そのため長安汽車はバイドゥの自動運転車を生産する候補とも考えられるが、同社は長年にわたりフォードの中国向けモデルも生産しているのだ。