IMAXにとって今回のワンダシネマとの契約は過去最大のもので、150シアターがオープンすれば、IMAXの中国でのスクリーン数は米国の倍近い742となる。
中国一の富豪ワン・ジエンリン(王健林)が経営するワンダは、映画産業の“爆買い”を続けている。傘下の米映画館チェーンAMC エンターテインメントは、英シネマチェーン、オデオン・アンド・UCIシネマズ・グループと米国のカーマイク・シネマズを買収した。ワンダは昨年、オーストラリアのHoyt’sグループも傘下に収めている。
IMAXは2015年の売上高3億7,380万ドル(約380億円)の3分の1を中国で生み出している。同社CEOのリチャード・L・ゲルフォンドはプレスリリースで、「今回の契約は、世界で最も映画市場が成長している中国で、我々のリーダー的ポジションを固め、ワンダシネマとの関係強化にも寄与する」とコメントした。
IMAXとワンダは中国の中間層が台頭し、これまで以上に映画を楽しむようになると考えている。昨年、アナリストは中国の興行収入が2020年に米国をしのぐとの予測を出したが、今年の第2四半期は減速し、成長スピードは予測を下回った。今回の契約で、両社はチケット販売収入をシェアするとしており、中国市場の成長が今後のIMAXの業績を大きく左右することになる。
中国は外国映画の上映数を制限しているが、2012年に規制を緩和し、年間制限枠とは別に、3D映画やIMAXなど高画質の映画作品の参入を年14作品まで認めた。このことはワンダとIMAXへの追い風となる。
ワンダシネマ総裁ゾン・マオジュン(曽茂軍)は、「IMAXとのパートナーシップは、ワンダの成長にとって大きな助けとなってきた」と評価した。
IMAXの現地法人であるIMAX中国は2015年10月に上場した。IMAXはIMAX中国の株の3分の2を保有している。