発行株式数は4億6700万株。現在チャイナ・フィルムの株式の93%を保有する中国電影集団公司の持ち株比率は、上場後に約3分の2に低下する。調達資金は映画製作及び、91ヶ所の映画館の建設に用いる。同社は今後3年間で53本の映画を制作し、テレビドラマシリーズも十数本以上制作する予定だ。
上場によりチャイナ・フィルムはグローバル展開を加速する。中国の映画産業では不動産王の王健林が率いるワンダグループが有力だが、資金調達により競争力を高める狙いもある。
上海証券取引所への上場により、チャイナ・フィルムの市場価値は23億ドル(約2,740億円)に達すると見込まれる。これは米国のAMCネットワーク(29億6000万ドル)、ライオンズゲート(29億9000万ドル)に匹敵する規模だ。チャイナ・フィルムは2015年に1億3000万ドルの利益をあげ、前年度から73%の上昇だった。
しかし、同社の今後に関しては不安材料もある。チャイナ・フィルムは主に中国の国内向けに映画事業を展開しており、中国の映画産業は減速も伝えられる。昨年、アナリストらは2020年までに中国映画の市場規模が米国を追い抜くと予測したが、今年に入り売上は5%低下しており、ここ数年で初めての減速に直面している。このまま市場の縮小が続けば、チャイナ・フィルムの未来には暗雲が立ち込める。
中国電影集団公司が最初に株式上場の意志を表明したのは約10年前のことだった。遅延の原因の一つは昨年の株式市場の混乱以降に行われた、中国証券当局による規制強化だった。
北京に本拠を置く同社はハリウッド映画への投資も行ない、昨年は興行収入15億ドルを記録したカーアクション映画「ワイルド・スピード SKY MISSION」にも出資。グローバル展開への意欲を見せている。