両社は現金48億ドル(約5,100億円)の買収額で合意。買収は2017年第1四半期に正式に完了する予定だ。
ベライゾンは今後、ヤフーが成功を収めたストリーミング事業をさらに推し進める可能性がある。
ヤフーは2015年、NFL史上初のネット中継を実施した。NFLによると、ユニーク視聴者数は1,520万人、視聴回数は計3,360万回に達した。うち35%は米国外からの視聴で、世界185か国の人々がバッファロー・ビルズ対ジャクソンビル・ジャガーズ戦をネット観戦した。
ヤフーはこの試合のネット中継に対し、およそ2,000万ドルを投じた。今後もヤフーに留まる意向を表明しているマリッサ・メイヤー最高経営責任者(CEO)はすでに、ベライゾン傘下でさらに大きなコンテンツライセンス契約を結べる可能性を示唆している。
ベライゾンは、スポーツのネット中継拡大を目指すうえで完璧な会社だ。ヤフーによるNFL中継では、バッファーの不具合など、史上初の試みにはつきものである問題も起きたが、大きな成果は、本物のモバイル体験をもたらしたことだろう。スポーツ記者のクリス・チェースも、携帯電話を使い車内でNFLを「ほぼ完ぺき」に観戦できたと絶賛している。
ベライゾンは既に、イベントのネット中継や、NFLとの提携に積極的な姿勢を示している。同社は自社の携帯契約者に向け、NFLをライブ中継する無料モバイルアプリを提供している。こうしたサービスにより、ベライゾンの顧客増加も見込める。
ベライゾンはNFLの公式携帯サービススポンサーで、この提携関係は2014年に4年間延長された。延長の対価は10億ドルで、これはヤフー中核事業の買収額の5分の1近くに相当する。これほどの大金を払っていれば、ベライゾンがNFLのメディアパートナーとなっても不思議ではないし、その可能性はヤフー買収によってさらに高まる。
ベライゾンにとってヤフーの中核事業買収は、スポーツのネット中継という点からもおいしい話だったのだろう。