ビジネス

2016.07.22

パンドラが買収提案を拒絶 「3,600億円は安すぎる」

Spencer Platt / gettyimages

このところ身売り説が浮上していたストリーミングサービスのパンドラ(Pandora)が、買収提案を拒絶したことが明らかになった。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると米国のメディア企業、リバティメディアが買収話を持ちかけたところ、パンドラは即座にこの申し出を断ったという。

パンドラはニューヨーク証券取引所に上場中の公開企業だが、リバティメディアは、同社株の15%の取得を持ちかけたという。提案金額は34億ドル(約3,590億円)だったが、現在の時価総額が約27億ドルのパンドラ役員らは不満を示し、これを即座に断った。

パンドラの株価は現状で13ドル付近だが、役員らは同社株の価値は少なくとも1株20ドル以上と見積もっている。金額が低すぎるというのが彼らの結論だ。しかし、パンドラが収益化に苦戦している事は明らかだ。

8000万人の月間アクティブユーザー数を抱え、世界最大のストリーミング企業に挙げられるパンドラは赤字を垂れ流し続けている。2016年の第一四半期のみで、同社は1億ドル以上の赤字を生んだ。競合にはそれ以上の赤字を生んでいる企業もあるが、この数値は同社の経営が危機に瀕していることを物語る。

パンドラは交渉を長引かせ、少しでも良い条件を引き出そうと企んでいるのかもしれない。コンスタントに赤字を生み続けてはいるが、パンドラはさらにユーザー数を伸ばすことも期待される。業界全体で見れば、ストリーミングは今もなお上り調子だ。

インターネットラジオのパイオニアであるパンドラは、オンデマンド配信の分野に進出し、スポティファイを追撃しようとしている。勝負はまだ終わっていないというのがパンドラ側の考えなのかもしれない。

編集=上田裕資

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