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2016.07.20 09:00

ソフトバンクのARM買収、半導体業界の好機となるか

Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images

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ソフトバンクグループが7月18日、英半導体設計大手ARM(アーム)ホールディングスを320億ドル(約3兆3,990億円)で買収すると発表したことを受け、ARMの米上場株は同日の取引で41%急伸。同時にその他の半導体メーカーの株価も、米英の両市場で上昇した。
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株価が最も上昇した企業の一つが、プロセッサ設計のシーバ(CEVA)だ。アナリストのマシュー・ラムジーは、ソフトバンクによるARM買収から最大の恩恵を受けるのは時価総額5億6,800万ドル、カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置く同社になるかもしれないと予想している。

シーバとARMはいずれも、さまざまな機器向けのチップの基本設計を手掛けており、その他の企業はその設計を基に、それぞれ独自にチップを製造する。ラムジーによれば、ARM以外が提供するIPには恐らくプレミアムが付き、シーバはその恩恵を受けると考えられるという。

シーバの広報担当、リチャード・キングストンは、「当社は戦略的投資や買収、合併(M&A)など、自社の成長と事業の拡大に向けた数多くの選択肢について検討を行っている。特定の選択肢について、当社株主にとっての最善の利益になると考えれば、当然ながらそれについて検討する」と話している。
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カメラやスマートフォン向けのチップを手掛けるシーバの今年第1四半期(1~3月期)の売上高は、前年同期比19%増の1,650万ドルだった。18日には株価が29.88ドルまで上昇。2012年に付けた最高水準を回復した。

多数のM&A案件を予想

IT専門の調査会社 IDCによると、スマートフォンの出荷台数は今年、3.1%の増加が見込まれている。2014年27.8%増、昨年の10.5%増から初めて、一桁台の成長に落ち込む見通しだ。

こうしたスマートフォン市場の成長の鈍化に加え、継続的なパソコンの出荷台数の減少により、半導体メーカーは成長に向けた別の機会を模索せざるを得ない状況に直面している。今後はM&A案件の増加も予想されている。

ただし、前出のラムジーは、「ゲームや自動車、モノのインターネット(IoT)など、小さいながらも今後の成長が期待できる別の分野が生まれている」「好調とはいえない半導体業界にとって、これらは新しい長期的な推進力になる」と指摘している。

半導体業界では2年ほど前から、統合が進んでいる。M&A案件は昨年、270件に上った。シンガポールのアバゴ・テクノロジーズ(Avago Technologies)が370億ドルで米ブロードコムを買収。また、今年3月にはシスコシステムズが、イスラエルのファブレス半導体企業、リーバ・セミコンダクター(Leaba Semiconductor)を買収している。

編集=木内涼子

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