魅力はもの柔らかでありながら、弁護士たちが持つ粘着質の物腰の柔らかさとは質を異にする。魅力には、親しみを感じる温かさがある。ただ、魅力は徳の高さとは違う。善悪の判断にとらわれるものでもない。魅力的な人は、あなたの目を見開かせる人だ。そして、人の話に耳を傾け、丁重な態度でそれに対応することができる人だ。
こうした人たちには自信がある。自分を主張する必要などないほどの自信だ。誰かが侮辱したり失礼な行動を取ったりしても、その人のオーラが傷つけられることはない。ユーモアや寛容な態度が失われることもない。
トランプはどうか──
当然ながら、これらはトランプに欠けている資質だ。トランプなりに魅力的なところもあるだろうが、彼はその魅力をすぐに投げ捨ててしまう。けんか好きなニューヨーカーたちの間で育った人だ。こうした性質は、彼の強みにもなってきた。このおかげで、マンハッタンで成功し、共和党の大統領候補を目指す予備選を勝ち抜いてきたのだ。
だが、これは同時にトランプの弱みでもある。政治においては特に、弱点となるだろう。自身の魅力で他人を引き付けるのではなく、誰かを愚弄することで注目を集めてきただけなのだ。
大統領にふさわしいと評価されるようになるためには、人としての魅力が必要だ。トランプ自身は、大統領らしいことは“退屈な人”であることだと思っているようだが、そうではない。家族の誰かが、トランプがそれを学ぶのを助けてあげられるかもしれない。
ロナルド・レーガンはかつて、討論の中でこう言ったことがある。「私は政治的な目的で、対立候補の若さや未熟さを利用したりしない」──これ以上に、明るく魅力的な言葉はあるだろうか?