600ドル以下で発売の「自撮りドローン」 人工知能搭載も視野に

自撮りドローン「ホバー・カメラ」(c)Zero Zero Robotics

「ホバー・カメラ(Hover Camera)」は、外付けHDDのような形状と折り畳み式ボディが特徴の自撮りドローンだ。開発者のMengQiuWang、通称 “MQ”が自らその使い方を実演してくれた。折り畳まれたプロペラ部分を広げ、上部のボタンを押して空中に投げ出すと、機体はすぐにホバリングを始めた。

飛行音は大きいが、動きはとても滑らかだ。4つのプロペラはカーボン・ファイバーでできた格子状のフレームに覆われているため、空中に浮いている姿はまるで魔法のようだ。MQが歩くとドローンが彼を追尾し、手で機体を押すとすぐに体勢を整えて元の場所に戻ってきた。

ホバー・カメラを開発したのは北京に本拠を置く社員数80名のZero Zero Roboticsで、MQは同社の共同創業者兼CEOだ。同社はホバー・カメラの開発に2年以上を費やし、4月26日についに製品発表を行った。

同社はシードラウンドとシリーズAラウンドで総額2,500万ドル(約27億円)を調達しており、株主にはIDG、GSR Ventures、ZhenFund、ZUIGなどから名を連ねる。MQともう一人の創業者のトニー・ワンはいずれもスタンフォード大学で博士号を取得している。

重量はわずか240グラム、ユーザーを追尾可能

ホバー・カメラにはクアルコム製の高性能プロセッサ「Snapdragon 801」が搭載されており、ユーザーを追尾したり障害物を回避するためのコンピュータビジョンアルゴリズムを処理している。本体前方には1,300万画素カメラを搭載し、4K画質のムービーが撮影できるほか、ユーザーの顔や動きをトラッキングできる。

また、本体下部に搭載された底面カメラとソナーによって安定した飛行を実現している。センサーは、加速度センサー、ジャイロセンサー、バロメーターなどが内蔵されている。これだけの機能を実装しながら重量は240gと超軽量だ。

専用のスマートフォンアプリでは、ドローンの位置設定や、追尾するユーザーの指定、パノラマ撮影モードの設定などが行える。また、ホバー・カメラが撮影した動画をスマートフォンにアップロードすることも可能だ。

Zero Zero Roboticsは最近のハードウェアスタートアップにしては珍しく、ホバー・カメラの予約販売を行ったり、キックスターターでのキャンペーンは実施していない。出荷体制が整い次第販売を開始する予定で、今のところ夏頃を予定している。価格はまだ未定だが、MQによると600ドル(約6万4000円)以下で販売する予定だという。

同社は製造を請け負う大手メーカーと提携し、現在はソフトウェアの改良とカメラ性能の向上に取り組んでいる。また、販売に先駆けてベータ顧客を募集しており、ホバー・カメラを使った創造性あふれるコンテンツを数多く制作する予定だ。販売地域は当面アメリカと中国に集中するという。
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編集=上田

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