全米各地にある中毒事故管理センターには毎日約45分に一度、洗濯用ジェルボールに入った洗剤を飲んでしまった、じかに触れてしまった、などの相談の電話が入る。
米小児科学専門誌「ピディアトリクス(Pediatrics)」に報告された調査結果によると、洗剤の誤飲などによる深刻な症状や入院のうち、原因として最も多いのはこうした「洗濯用ジェルボール」だ。
調査を主導したオハイオ州コロンバスにあるネイションワイド小児病院・外傷研究対策センターのゲイリー・スミス所長によれば、「ジェルボールの多くは、キャンディやジュースのように見える。さらに、ちょうど子供がつかみやすく、口に入れやすい大きさだ」。別の小児科医も、その色と大きさが特に、幼い子供の関心を引きやすいと指摘する。
さらに、ジェルボールはその他の形状の洗剤に比べて濃度が高い上、より溶けやすいようにつくられている。「水溶性のフィルムは、子どもが噛めばすぐに破れ、口に入ればすぐに溶け始める。あっという間に食道や気管に洗剤が流れ込んでしまう」
今回の調査は、全米中毒情報データシステムに登録された洗濯用・食器用洗剤に関連した子供(6歳以下)の事故の報告例について分析したもの。報告件数は2013~14年の一年間で、6万2,254件に上った。
急性中毒の発生件数はこの間、洗濯用ジェルボールが原因の例が17%増加し、全体の35%を占めた。食器用洗剤による事故は、14%増加している(同25%)。データベースには、洗剤を「吸入した」、「肌や目に触れた」、という事故も報告されているが、全体の85%は「飲み込んでしまった」ケースだった。