アップルは先日更新された公式サイトの環境ポリシーページで、製品の想定使用年数に関して明らかにした。それによると、アップルが想定するiPhoneやアップルウォッチの使用年数は3年、MacやアップルTVに関しては4年ということだ。「Appleは、Apple製品の温室効果ガスのライフサイクル評価をどのように行っていますか。」という質問に対し、アップルはこう答えている。
ユーザーによる使用をモデル化するためには、模擬的な使用シナリオのもとで稼働する製品の消費電力を測定します。日々の使用パターンは各製品に固有のもので、実際のユーザーとモデル化したユーザーのデータを組み合わせたものです。1人目の所有者を基準にした使用年数は、OS XまたはtvOSを搭載したデバイスは4年、iOSまたはwatchOSを搭載したデバイスは3年を想定しています。
筆者が使用中のMacBook Proは自身によるパーツ交換等の涙ぐましい努力により、6年もの長きに渡り使用中だ。しかし、そんな勇敢な製品も実在する一方で、同社が想定する製品寿命は、近年のアップルの新製品投入サイクルとほぼ合致している。
その典型例と言えるのが iPhone SE だ。SEは事実上、2013年発売のiPhone 5Sの筐体に新型チップを搭載し最新モデルに仕立てあげた製品で、現状のiOS 9以降の3年間の iOSアップデートに対応する。5SとSEの発売間隔は同社が言う「3年ルール」と見事に一致している。
アップルは旧型の端末に関してもOSの適合性を与えているが、それは永遠に保証されるものではない。iPhone 5Sは最新のiOS9.3に対応しているが、今後のアップデートにも耐えうるかは定かでは無い。これまでスマートフォン業界は、通信キャリアの“2年縛り”による買い替え需要に支えられ、成長を遂げてきた一方、ラップトップやデスクトップ製品にはそのようなサイクルが存在しなかった。
しかし、アップルの近年のMacBook に関する取り組みを見ていると、同社はコンピューターに関しても、使い捨ての消耗品にする方向で進めているようだ。アップルは先日の新製品発表会でリサイクルロボット、Liamを誇らしげに披露したが、それもまた、ユーザーらに買い替えを納得させるための手段だったと考えられる。
アップルは、売上維持のためユーザーに定期的なアップグレードを迫ることが必要だ。新製品との抱き合わせで提供されるクラウドシステムも、買い替えサイクルをさらに強固なものにすることにつながるだろう。
そんな意味で、今回投入されたiPhone SEはiPhoneビジネスの将来を担う存在とも言える。同様な戦略をiPadやアップルウォッチ、さらには MacBookに取り入れることで、アップルは少しでも同社のビジネスモデルを長続きさせようとしているのかもしれない。
※2段落目にあった「製品の耐用年数」を「想定使用年数」に、「iPhoneの製品寿命」を「アップルが想定するiPhoneの使用年数」に訂正しました。また3段落目の文章をアップル公式サイトの「環境 - よくある質問」欄に記載された文章にさし換えました。